2014.04.01発行
勝手に読書
vol,11
警視庁含む8都道府県警警備部に配属されているSAT(特殊急襲部隊)。各都道府県警刑事部捜査第一課に配属されているSIT(特殊犯捜査係)同様、“S”という通称で知られるこれら部隊は、警察組織の中で唯一、犯人の命を奪ってでも事態を解決し、国家の安全を成す“制圧”を許されている。これに対し、あくまでも犯人の生命を失することなく、生きたまま捕らえることを最終目標にしているのが、一號らが属するNPS(警察庁特殊急襲捜査班)だ。確保を前提とするNPSの姿勢を甘いと考えるSATの人間とは衝突が絶えない。NPSには一號のほかにも個性的な面々が香椎によって集められている。
それぞれが消せない過去の傷や今なお続く痛み、葛藤を抱えているキャラクターたち。己の信じる正義と信念に基づき、歩みを止めない彼らに注目。
神御蔵一號
(かみくら・いちご)
元プロボクサー。警察庁刑事局捜査第一課NPS隊員。子ども時代に両親を目の前で殺されるという凶悪事件に巻き込まれている。その事件の犯人が射殺され、怒りや悲しみの行き場を失った経験から、被害者のためにも犯人の制圧ではなく確保を強く望んでいる。
蘇我伊織
(そが・いおり)
警視庁警備部警備第一課SAT隊員。狙撃を担当し、隊内でも随一の腕を誇る。強姦された姉を、逮捕・服役、のちに釈放された犯人に殺された過去があり、凶悪犯は制圧すべしとの強い思いを持っている。一號やNPSとの出会いによりその心境に多少の揺らぎが…!?
香椎秀樹
(かしい・ひでき)
警察庁刑事局捜査第一課NPS隊長。かつては中丸率いるSATの隊員でもあったが、ある事件をきっかけに中丸と袂を分かつ。NPS隊員としての一號の資質を信頼している。
中丸文夫
(なかまる・ふみお)
警視庁警備部警備第一課SAT隊長。常に冷静沈着で、何度も凶悪犯罪を繰り返す犯人を任務中に射殺したことがある。この国の治安を守れるのはSATだけだという強い自負を持つ。
凶悪犯罪者を許すのか、許さないのか。犯人は制圧すべきなのか、確保すべきなのか。被害者への贖罪は死を以て贖うべきか、生きつづけて贖うべきか。対立する思い――それはけっして簡単に答えの出るものではなく、彼らは己の信念に従いながらも日々葛藤している。
どうなる!?
『S ―最後の警官―』はひかりTVブックで以下続刊――