作者: 富島健夫
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それはまったく思いがけない推移であった。普通こうして愛撫を進めれば欲望はしだいにたかまって、やがて自分を押さえきれなくなるもの、というのが常識であろう。明自身も、そのような経過をたどって友子におおいかぶさっていくであろう自分を予想していた。ちがうのである。たしかに欲望は燃えている。けれどもその欲望の炎は同じ高さを保っている明全体をおおいつくすまでに至らず、むしろしだいに精神的な面が色濃くにじみ出て来ているのである。 + 続きを読む
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