単純な性格のサッカー選手・最上は、ガタイも顔もよろしいバリタチな自分を煽る上、好きあらば口説いてくる医師の支倉と犬猿の仲。気に入らないあまり夢にまで見ちゃうなんて、いい感じにケンカップルがキテる……と萌えたのも束の間、何故か憎たらしいはずの支倉の言いなりになってかわゆく欲情してる最上はどういうことなの!?
ずっと攻め側として振る舞ってきた男がSub性に突然目覚めてしまうという、驚きの展開で始まる物語。本来押し倒す側だったはずの立場が唐突に逆転したのですから、そりゃもう動揺しない方がおかしいというものです。ここでパニくる最上の気持ちに意外なほど寄り添ってくれる、支倉先生の優しさが激アツなのですよ。気持ちダダ漏れで隠しきれてないスパダリ様は大好物です、ありがとうございます！
性別の色分けに囚われすぎずに互いを尊重し合える関係が心地よくて、Dom/Sub世界を知るための入り口にピッタリな作品なのです♡

かつて強引に支配の証の首輪を付けられてしまい、外すことが出来ずにいるSubの美樹。トラウマを抱えながらも、ある作家の官能小説に惚れ込み読書で擬似的に欲望を満たしているのでした。
そんな彼がベビーシッターのバイト先で出会ったシングルパパの森屋は、声だけで分かるほどガチのDom。怯えて即帰ろうとする美樹ですが、締め切り前作家の必死なお願いパワーはDom/Sub関係なく無敵なのであった。何しろ髭を剃ったら鬼イケおじで包容力もグンバツで、可愛すぎる娘ちゃんという超強力な援軍まで付いてますからね！
親子に癒えない心の傷に向き合う勇気をもらった美樹を、読者的にも全力で推さずにはいられませんですとも。SubがDomに与える命令――つまり言葉の持つ力が鍵となる展開がこれほどまでに心に響いてくるのは、創作世界を愛する美樹と作家の森屋という、言葉を大切にする2人の物語だからこそなのかも。

欲求を抱えるSubに命令するDomキャストとして、学生ながらSub専用クラブで働く正己。ほとんどSMめいたハードなプレイはあくまでも仕事上であり、自分はDomでもSubでもないノーマルだと思っています。
ところが元級友のDomである悠生に再会して、Subであることを指摘されてしまって大パニック。頑なに認めようとしない正己ですが、お金のためだからと自分を大事にしようとしない彼に静かにキレる悠生の表情が……普段がにこやかなだけに超怖っ。豹変すごくて性癖に刺さり過ぎるんだってばよ。正己自身も、本物のDomの命令がカラダにもたらす甘い痺れに抗えないのですよ高まりすぎる～！
2人の心が接近するにつれて、正己がSub性を頑なに疎む理由も深掘りされていきます。第二の性が支配と被支配という関係であっても、信頼があって初めて繋がる心の温かさや柔らかさは普通の人と何も変わりません。SubやDomという設定の枠を超えて、誰もが共感出来る骨太な愛の物語の結末をどうか見逃さないで。

優等生の一色をDomだと思い込み、同じDomとして一方的に劣等感を募らせていた倉科。ある時倒れた一色を介抱したことから、実は彼がSubであったことを知ってしまいます。ちょ、長らくの塩対応がただの勘違いだったのって恥ずかしすぎませんかっ。案の定罪悪感にうろたえたあげく、照れながらもパートナー関係を申し入れる倉科がチャラい見た目に反して素直な良い子過ぎて、思わずほっこりしちゃいます。
お互いの体調のため密かに始めたプレイは高校生らしい初々しさに溢れてもどかしいけど、出来ることなら永遠に摂取していたい。拙者『ほんとは好きすぎてハグしか出来ないもだもだシチュ』大好き侍でござる！
Domとして相手を大切にしたいと考える倉科も愛おしいのですが、ちょっぴり不思議ちゃん系で実はえっちな一色くんもこれまた魅力的。2人をずっと見ていたくてページを繰る指が止まらないほど、素敵な物語なのです。

Sub性を隠して『頼れる男』を演じてきたアラサー高校教師の渡辺。婚約者に逃げられヤケになって使ったマッチンブアプリで、元教え子のDomである和泉と再会してしまいます。
なし崩しに家に上がりこんだ和泉に命令された途端、スイッチが入ってしまうセンセーったらまじエロス。これまで長年Subであることをひた隠しにしていたワケですから、プレイ初体験の快楽に流されてそのままセックスしちゃっても仕方ないのである！……そうかな？
挙句の果てに動画まで撮られ無理やり家に住み着かれ、毎日のように抱かれる地獄のハズが、明らかに健康になっていく先生が面白すぎやしませんか。さらにナマイキ年下Domにいいようにされる恥ずかしさと悔しさと嬉しさで、テンパりまくりな先生のハイテンションひとりノリツッコミに君の腹筋は耐えられるかっ。畳み掛けるギャグ展開に救われながらも、『褒めてほしい、優しくされたい』という人間なら誰でも当たり前に持つはずの感情を押し殺してきた先生のしんどさを思うと、彼の幸福を願わずにはいられないのです。

自分のSub性を恐れ嫌っていたものの、体調改善のためにパートナーを探すハメになった桔平。マッチングされたのはなんとエリート同僚のDomである大友でした。目の下のほくろがチャームポイントの大友氏が、見た目通りのスパダリな件について語り明かしたい！
マッチング当初は緊張でガチガチかつツンツン態度を隠さなかった桔平も、彼の人の良さげな優しい笑顔に速攻ほだされてしまいます♡
胃袋までがっつり掴んでくる大友は策士ではあるのですが、普段はもちろんプレイの中でも『桔平の嫌がることは一切しない』と誓ってくれるいかしたジェントルマンなのですよ。言いたいことは言うさっぱりした性格の桔平と、1人でグルグル考えすぎてちょっぴりロマンチストな大友。お似合い過ぎて『こいつらもしやSubとDomであってもなくても惹かれ合っていたのでは』と思わざるを得ません。2人らしい甘～い幸せの形が愛おしくてたまらなくなるこの一冊、絶対見逃さないで！

自信だけでなく実力も兼ね備えた研修医の純生。そんな優秀な純生は不運にもSub性を持つ人物だった…!?
欲求を抑え続けるあまり限界を迎えたある日、彼が足を向けたのはSub専用風俗。トラブルに巻き込まれて再会したのは、高校時代のDom後輩・愛でした。今はヤクザとなった彼は純生の状態をすぐに見破り、『とことん支配されたい、めちゃくちゃに躾けられたい』という要求にカラダでがっつり答えてくれます。
これで愛は長年の想いが叶い、純生は悩ましい不調が改善したはず。やったぜ万事ハッピー……なーんてお話ではなく、その後もひと筋縄では行かないっ！！！何故か再び倒れてしまう純生、そして不眠症に悩む愛。欲はたっぷり満たしたはずなのにどうしてなのか、その悲しい秘密が明かされていくストーリーには息をつく間も惜しいほど惹き込まれてしまうはず。カラダと裏腹な心の檻から自分を解き放とうとあがく純生を、ラストまでしっかり見届けてあげて。

訳あってパートナーを持たずにSub性を持てあましている御曹司社長の綾人。男性用ガーター萌えクラスタ必見♡のえっちな若社長の元に現れたのは、若く優秀なDomの秘書・高坂でした。彼にマッチングアプリを使った相手漁りを咎められた挙げ句、プレイの相手まで務られることになるのですが……。
ハイ出ましたクソデカ感情搭載の有能秘書～！　こんなの絶対魂胆があるに決まってるのに、物は試しとばかりにプレイを始めちゃう社長の軽率さがけしからんな。そのうちチョロい社長、チョロ社長って呼ばれてしまいますよ!?
案の定これまで未経験だったほどの快楽に酔うトリップ状態『Subドロップ』に社長が陥ってしまったのは、果たして高坂が綾人好みの若いイケメンだったからだけなのでしょうか。明かされる真実にきゅんきゅんとなるアナタの鼓動が、もしかしたら綾人の恋心とシンクロしちゃうかも。