彼女にフラレたばかりの学生・愛は、ボロアパートの隣に住むカップルの派手な『夜のアノ声』にイラつきまくる毎日。ところが翌朝ベランダで目撃したバカップル片割れの超美人・綾生は……よく見たら○○○生えてますがなー!?
ショックを受ける愛を尻目に相方のイケメン・伶と共に愛の部屋に上がり込むやいなや、当たり前のように鍋パを始める綾生様のノー距離感に腹筋崩壊なのです。こんな面白ご近所さんの隣ならむしろ住みたいぃ！
やがてお酒が入って泣き出すノンケを男2人が挟む密室、何も起きないはずはなく……。勢いでうっかり軽率に抱いて抱かれちゃう愛ですが、『男同士』＆『自分が間に挟まる３Ｐ』のカルチャーショックにビビりつつも素直に新しい扉を開いちゃう姿が愛おしくて、丼飯三杯はイケちゃいそう。
「どうせ死ぬなら楽しまなきゃ！」と言い切るメンタルつよつよ男前な綾生と、帰る場所が欲しいと寂しげに呟く伶。2人と1人の不思議でエッチなキュンキュン三角形ラブを、とことん堪能してください！

カジノで働く新谷は、上司でヤクザの愛人でもある須藤にチンピラの菊池を人前で犯せと脅されます。騙されトラブルを起こした愚かな菊池に心ほだされ、行き場を失った彼を引き取る新谷。そんな優しさに癒やされ惹かれていく菊池ですが、お人好しに見えていた新谷には薄暗い性癖がありました。
借金を返すためボロボロになりながらも、新谷を一途に想う菊池。新谷の本性を見ぬいて爛れた関係を持ちかけてくる須藤。攻1人受2人の歪な関係が行き着く先は、真っ逆さまの破滅しかないのでしょうか。新谷の心を追い詰めていく須藤の、恐ろしくも不可解なクソデカ感情の正体がどうしても知りたくて、ページを進める指が止まりません。
尊みと悲しみの温度差でギリギリ情緒のまま最終巻まで突っ走らずにはいられませんので、是非とも傍らにタオルの準備をお忘れなく。お願いだから、みんな……みんな幸せになろうよぉぉお！

元彼に騙され借金を抱えたオメガの斗和は、大金持ちの美形双子・誠司と愛司が気持ちよく遊ぶための『専属わんこ』として3ヶ月飼われる契約を結びます。どちらもオメガのはずの双子が発情期を迎え交わっているところを目撃した斗和は、実の兄弟である2人がアルファとオメガ――番同士でもあることを知るのでした。
オメガの兄・愛司とアルファの弟・誠司の、恋人でもあり家族でもある閉じた依存関係は淫靡で淋しくて美しく、世界に2人ぼっちな彼らがすがり合う姿に胸を打たれます。そんな双子の孤独に寄り添い、愛する事に世間が決めた枠など関係ないという事を必死で伝えようとする斗和。双子を想いながらも自分が傷つくことを恐れない、底なしの愛情ときたら……！
待って、ホント待って、深すぎるからこれ。慈しみ合う双子と斗和の愛の黄金三角形を見ていると、もはや誰がアルファやらオメガという事など些細な問題に思えてくるほど、温かく幸せな気持ちにさせてくれる名作なのです。

好みのタイプのサラリーマン・雪文が、1人で泣いているところを見つけてしまった岸野。行きずり的に声をかけ快楽に弱い雪文の素顔を知り、ますます恋心を募らせます。しかしその淫らなカラダを作り上げたのは、雪文が7年間不倫関係を続けてきた雨津木という傲慢な男なのでした。
長年支配され心も身体も痛めつけられてきた雪文を想い、我が事のように怒る岸野の眩しすぎる光属性が推せるんだってばよ～！
年下わんこが刺さるクラスタさんも超必見です。さんざん躾けられたエッチな性と過去込みでまるごと雪文を愛しちゃう包容力、これな～。
いくらお金や権力があったところで、愛した相手を大事に出来ない雨津木は『スパダリ』になれるはずもないことを、気付いていなかったのは本人だけなのかもしれません。ムナクソ三角関係の爽快な崩壊と、恋をやり直す岸野＆雪文のハッピーえちえちを浴びるように摂取した後は、泥沼不倫おじさん雨津木のその後の超展開も是非見届けてみて。ダヨオ先生……アナタが神か……!!

幼なじみ・タケと、いつでも好きなものを何でも分かち合ってきた拾。ある時拾に一途に恋するミネと付き合い出したことで、3つの歪な歯車が回転し始めます。
「自分が好きならタケのことも好きになって」と言い、ミネの身体をタケと『共有』したがる拾。拾とタケはニコイチ一心同体なのに、どちらも攻めで身体の関係ナシというのが性癖に刺さるんですよねえ。攻め同士のカラダを介さない激重感情が大好物のみんなに伝われこの熱さ！
境界を見失うほど拾に依存しているタケは、言われるままにミネを犯します。そもそも拾を抱きたいと焦がれていたミネにとっては気の毒過ぎる状況ですが、そんな彼も次第に手荒なタケの行為に身体の悦びを感じるように。
すると今度は複雑な感情を見え隠れさせる拾くんさぁ……そういうとこだぞ。依存と執着と愛欲の矢印が入り乱れまくるギリギリ綱渡りな三角関係の行方を、是非とも見届けてください。

今回ご紹介したいのはダウナー系はらだワールド炸裂の短編集に収録された、幼馴染みの少年3人による駆け引きと失恋と後悔を描いた2つのお話です。
「ゲイなんてキモイ」と無邪気に言う1人に釣られ、密かに想っていたもう1人からの告白を貶め傷付けてしまった少年の目線で語られる「後悔の海」。好きだった1人が好きなのはもう1人の幼馴染みと知り、嫉妬に狂った少年の語る「スイメンカ」。1人を奪い合った2人の言葉によって明かされていく真実は、のどかで穏やかな田舎の漁師町の風景とは裏腹に、少年時代の綺麗な初恋なんてとても言えないような感情のうねりで埋め尽くされていました。
取り返しつかない系の生々しいストーリーが性癖なオタクの皆さんは、後悔させないから今すぐ読んでみて。心地よ～いどん底に、一緒にハマろ♡

高校時代から恋する白島に告白出来ないままの名塚は、セフレの瀬野との愛の無いカラダの関係を続けています。
序盤から瀬野の扱いが雑すぎてダメ男ポイント高得点をマークする名塚ですが、白島と瀬野が交通事故を起こし精神が入れ替わってしまったからさあ大変。『瀬野in白島』だけが目覚め『白島in瀬野』が目を覚まさないなか、「今の瀬野を抱くなら白島を汚さない」なんて身勝手な理屈で勝手知ったる瀬野のカラダとセックスしようとする名塚には、さすがにあんまりだろうとツッコミたくなるというもの。
おそらく名塚を一途に想っていたであろう瀬野が可哀想過ぎて、読者も胸をかきむしられるような気持ちを味わえます。「魂を愛して欲しい」と名塚を拒む瀬野in白島の真意、そしてそもそも本当に入れ替わりは起きているのか――。
瀬野や白島の隠された顔が明らかになるにつれ、孤独な愛の悲しみと苦しみ、そして謎解きまでもが味わえる、ためこう先生渾身の1作。上下巻一気読みで堪能した後、さらにもう一周を強くオススメしちゃいます。

同い年の依と尚人、年下の朋は仲良しの幼馴染み。朋と付き合いながらも優しいセックスで満足出来ない依は、彼氏公認セフレの尚人と激し目SMプレイを続けているのでした。
淫らなカラダに自己嫌悪を感じながらも2人なしではいられない依。愛する依の性癖を尊重しつつも、満足させてやれない悔しさと嫉妬に悩む朋。兄貴分として依たちを見守りながらも、いつしか依に男として恋していた尚人。みんないい子だし誰も悪くないのに、どうしてこうなっちゃうの～?
行き場のない三角関係にじれじれするもよし、サンドイッチHでどっちがイイのか白黒付けるもよし。甘々＆ハードなトロットロ3Pえっちでみんなハッピーになればいいじゃないって、おい……まさかの天才か……！
しんどいけれど誰も弾き出さない優しさに満ちた物語だから、これまで三角関係モノを食わず嫌いしていたアナタにこそ手に取っていただきたい1冊なのです。