オメガバース世界で番となり社会的な伴侶となった子育てカップルの、あったか家庭生活を描いた作品。
夫の弘は一見有能スパダリなイケリーマンですが、その素顔は伴侶の真生と息子・輝への愛情が常時だだ漏れな残念アルファなのです。とにかく独占欲が……独占欲が強いッ！　とてもヨシ！
弘の同僚・松尾やご近所の口下手高校生・祐樹を巻き込みながら子育てに奮闘する一方で、超絶キュート幼児の輝きゅんを寝かしつけた後すかさずイチャラブするおふたりさんの尊みが深すぎて、ここからしか摂取できない栄養が絶対あると思う。現実ともどこかリンクする性への偏見差別と向き合いつつも、優しい世界の中で結ばれた家族の絆を描く「ただおか」ワールドからは、続編やスピンオフ作品も続々登場中なのです。どっぷり沼って癒やされてみて！　みて！

村の因習で大学生の千景に「嫁入り」することになってしまった童顔サラリーマンの百貴。形式だけと渋々引き受けたものの、思った以上に周囲が本気と知ってただいま絶賛ドン引き中。花嫁衣装までは乗り切っても、さすがに初対面のでっかい生意気年下男と初夜を迎えろとか言われましても。思わず「ムリ」と口走ってしまった百貴ですが、儀式を始めた以上は「夫婦の務め」をカラダで果たさなければ祟られてしまうのです。やだ、村の掟さんったらいい仕事シすぎてるぅ。
無事結ばれる日を目指しケンカばかりの結婚生活が始まるのですが、シュールな状況でも前向きに頑張る百貴の笑顔がキュートすぎたせいなのか、おや……無愛想に見えた千景の様子が……？
手探りで近づく二人の無自覚イチャラブに萌えつつも、さりげにコマの片隅で呟かれるツッコミがいちいちパワーワードすぎるから、胸キュンついでに腹筋も鍛えられちゃうかも！？

双子の妹を逃がす時間稼ぎのため、身代わりとして富豪へ嫁入りした青年ラムダン。実は妹ではなく一方的にラムダンを想い婚儀を画策していたヤンデレ御曹司ウルジの言動に、怒りながらも次第にほだされてゆくように。
当初は強引でムッツリなくせに超絶倫なウルジに文字通り身も心も振り回されるラムダンが可哀想過ぎて、いくら金持ちイケメンでもこれはちょっとないだろ、なんて思っていた時期が私にもありました。しかしストーリーが進むにつれ明らかになっていくウルジの、ひたむきな恋心と純情 is 何事……肝心な時しか役に立たないこのスパダリめ～！軽率に手のひらクルンするに決まってましたゴメンなさい。
エキゾチックな世界観の中でラムダンが身にまとう美しい異国の衣装も見どころですが、やっぱりウルジに剥かれ組み敷かれ悔しさに震えつつも、来る快楽に期待してしまうツンデレ仕草こそが至高の最萌えシーンなのです♡

ある日突然身体がオメガとして変異してしまったルカは、村から「太陽の神の花嫁」、つまり生贄として差し出されることになってしまいます。村の暮らしを良くするためだと覚悟を決めるルカですが、現れた守り神のクロはぶっきらぼうでも思ったより優しそう。しかも「お前を娶る気はない」ときっぱり断言するなんて、聞いてた話とだいぶ違うぞ？
村人たちだけでなくオメガとなった人たちをも護ってくれるクロの加護とは、魔法でも神通力でもなかったのです。オメガバース設定をファンタジー世界に取り込んだ、この絶妙な設定が深すぎる～！
最初はヒートの発作を慰めるためだけだったふたりの関係が、惹かれ合うことで本当の伴侶として成長していく物語の中で、解けるように明らかになっていく世界の謎解きにもぜひ注目してみて。

喫茶店マスターの航平と大学生の柊太は、養子縁組した「夫夫」関係。誰にでも人当たりがよく、いつも大人で一歩引いた態度を崩さない航平は優しくカッコいい理想の夫なのですが、だからこそ不安でしかない柊太の気持ちにわかりみが深いのです。
同性で年下で一般的に伴侶とみなしてもらえない自分なんて、もしかしたら彼にとってただの家族なのではとグルグル考え、ついには家出をしてしまう柊太。でも、幼い頃から柊太の成長を見守ってきた航平がついつい保護者モードになりがちなのも、これまた仕方のないことかもしれません。っていうかそれな！　カッコつけたい男の本音とタテマエってヤツですからー！
柊太のクラスメイトで相談相手となる二池君＆元カノちゃんと宅飲みしながら一緒に励ましてあげたくなっちゃう、初々しい柊太の甘酸っぱさが染みる一冊。まったり優しい気持ちで過ごしたい夜にピッタリですよ。

政略結婚をきっかけに結ばれた隆臣と一昌。お互いを慈しみ労わり合う2人の前に、愛だけでは解決が難しい大問題が立ちふさがります。つまりどちらもオメガバースのα――攻め側の性自認であることから、『妻』の立場となった一昌は受けとなる自分をなかなか認めることが出来ないのです。確かにこれは嗚呼無情……！
読み始めてまず目を引くのは、洋画チックなセンスに満ちた絵柄が紡ぎ出す雄vs雄の肉体の美しさ！　合間に挟まれる容赦ないギャグ空間が織り成すホスピタリティの高さがたまりません。もう1つ心に残るのは、謎に満ちたセックスカウンセラー・京和先生の、「2人の間にある問題は片方だけでは解決出来ない」という金言かも。
同性カップル、しかもα同士という特殊設定ではありますが、愛するということ、相手を理解して受け入れること、家族となることの普遍的な難しさと素晴らしさを温かな目線で描きあげた名作なのです。

精悍な黒犬の獣人貴族・グランへ身売り同然で差し出された、小さな猫獣人・ユニ。魔力を持たずとも心優しく健気な彼にいつしか夢中になったグランは、ついにユニと番としての契を交わすことに。
出ましたーッ異種婚モノ！しかもケモノ度バリ高かつ愛らしく格好良い、いいとこ取りしまくりのモフモフキャラデザと来ましたぞ！獣人萌えクラスタ的にも大注目の一作なのです。
グラン様の溺愛スパダリイケメンわんこ属性もドツボ過ぎて眩しいのですが、一見ノホホンとしているようで実は結構芯のあるユニが、不思議な妊娠と出産を乗り越え家族を守るため奮闘する姿にも胸を打たれます。
甘々ケモノ夫♡夫のラブライフと屋敷に仕える面々を巻き込んだギャグパート、そして何よりキュートすぎる赤ちゃんズに心癒やされれば、オタクの健康がまた促進されてしまう……！

七崎良輔さんの自伝を元にしたコミカライズ作品。幼い頃から女性的な感性や男性への恋心をひた隠しにして生きてきた良輔は、孤独を恐れ愛するパートナーが欲しいと熱望していました。しかしノンケの友人に恋しては失恋し、大人になってゲイの恋人を作ってもうまくはいかず――。
すっきりと美しく優しい絵柄で作中に描かれる、「女に生まれれば良かった」「ゲイが『治る』かもしれない」といった些細なフレーズの残酷さが、あまりにも胸に刺さります。ありのままの自分を家族にすら隠さなければならないような、「ふつう」の人生って何なのでしょう。そんな彼の「自分だけは自分の味方でいて」という言葉は、性別の枠を超え孤独を感じるすべての人を勇気づけてくれると思うのです。