オメガバースとは、「アルファ」「ベータ」、そして男性の身体でもアルファの子を生むことが出来る「オメガ」という第三の性別が存在する世界観を指す言葉。海外発祥のこの設定が多様に自由に進化を続けた結果、思わず吹き出すギャグ作品やラブコメから伏線たっぷり重厚なシリアスストーリーまで、色とりどりの名作を生み出す揺りかごとなっているのです。そんなオメガバース世界の奥深さを味わえる、ステキな8作品をご覧あれ!
- 傷ついてきたあなたを今度こそ守らせて。家族まるごと愛してる
- 運命の相手は禁断の美少年!年の差なんて愛があれば…大丈夫!?
- 貴方が俺の神さまだから…。捕らわれΩ の恋と献身
- カラダは最高・性格最悪!ムカつくアイツに発情しちゃう!?
- 玉の輿がほんとの幸せ?一番欲しいお前を諦められるハズがないッ!
- 運命感じた初々しいアイツ。一歩ずつでも君に近づきたい♡
- ヒートが来たって喧嘩上等!前代未聞な脳筋Ωのお通りだ!
- つれない態度は何のため?塗り固めた嘘に潜む真実の愛
愛する一人娘を育てるシングルマザーでΩ(オメガ)の雫斗。その気はないのに参加した婚活パーティで、見知らぬα(アルファ)・葉月に運命の番だと迫られてしまいます。オメガバならではの孕まセックスは本来ご褒美なんですけれども!
そこに愛がなけりゃ単なる暴力でしかないのに、雫斗のメンタルは強かった。望まない妊娠でも子供のことを一番に考えて、細腕ひとつで育ててみせると踏ん張っているのです。そんな雫斗の強さと愛情深さを知ってますます惹かれていく葉月ですが、雫斗も葉月の慎重さと温かな優しさに触れたことで、少しずつ過去のトラウマを乗り越えてゆくように。互いのヒートの熱に当てられ密かに発情する場面はえろくて可愛くて切なくて、いいから一刻も早く結ばれておしまい!と悶えずにはいられません。でもこのじれったい行きつ戻りつがあってこそ、ついに結ばれた時の満足感は倍増するわけで……!
運命の恋と家族の絆を温かく描いた名作を、是非堪能してみて。
成績優秀・容姿端麗な千夏は自他共に認める立派なα(アルファ)……だったはずが、いたいけな小学生のはるかを目にした途端、自分がΩ(オメガ)で運命の番に出会ってしまったことを思い知ります。いくら唯一無二の相手とはいえ、幼い少年相手に一体どうする気かとハラハラしてしまいますが、キュン死しそうなときめきと情欲に苛まれつつはるかにきちんと一線を引く千夏は、バース性が何であろうとオットコ前でカッコいい!
はるかをちゃんと尊重する態度はちょっぴりもどかしくもありますが、だからこそとても好感が持てるのです。本能に翻弄されることはあっても、Ω(オメガ)であること自体を引け目と感じたり、運命を嘆いたりはしないところも清々しくてたまりません。こんな素敵でキレイなお兄さんに出会ってしまったはるかが、1日も早く大人になりたいと願うのも無理ないですって。
焦らしに焦らして食べごろ迎えた2人の恋の、甘くてHな結末を見届けて!
貴方が俺の神さまだから…。捕らわれΩ の恋と献身
父が鎖で繋ぎ隠していた褐色肌のオメガ奴隷少年・ノエを見つけた、没落貴族の嫡子でα(アルファ)のレオン。好色な父に虐待されているノエを隠れて労るうちに、やがて彼を愛するようになるのですが――。
酷い扱いを受け続けても純粋さを失わないノエが不憫でたまらず、そんな彼を何とか救おうと奮闘するレオンの情の厚さに心が温まります。身体を貪られるノエの痴態を覗き見した時には、怒りと欲でぐちゃぐちゃになりながらも自身を慰めずにはいられなかったレオン。そんな彼がアルファとしての本能に逆らってまでノエの身体を気遣いガマンを続けるなんて、紳士を通り越してやせ我慢の域だったのでは。溜めに溜めまくった末やっと結ばれるシーンでは、行為のひとつひとつに愛と尊さが満ち溢れるようでした。
レオンに複雑な感情を持つ腹違いの弟・エリオットの思惑と貴族社会の陰謀が絡み合うなか、追い詰められる2人の行く末を見届けずにはいられません。
カラダは最高・性格最悪!ムカつくアイツに発情しちゃう!?
運命の番を探す『運活』中のΩ(オメガ)・獅子倉は学生時代に気に食わなかった元オタクの虎谷と再会し、発情期の勢いで関係を持ってしまいます。いきなり『運活』とかいうパワーワードの圧がすごいんですが、とにかくケンカップル好きクラスタはガチで即読みの神作きました!
α(アルファ)とΩ(オメガ)といっても社会的にはあくまで対等の、ハッピーな世界観があったけえ。煽り愛&けなし愛ドタバタSEXって最高かよ……!カラダの相性バッチリ過ぎて初めてでトロットロに溶かされちゃったくせに、翌日正気に戻った途端にギャグ嘔吐の獅子倉がほんと正直すぎて好きなのです♡
うっかりがっつりエロラブなシーンはもちろんですが、売り言葉に買い言葉で小学生男子レベルの意地を張り合う2人のやり取りもこれまた可愛すぎて、いつまでも尊く見守っていきたい圧倒的ツンデレカップルでございました!
ハイスペα(アルファ)の玉の輿を狙うΩ(オメガ)の計は自分磨きの一方で、幼馴染のβ(ベータ)・次継をセフレにして発情期を過ごしていました。
選り好みをしているようでどこか捨て鉢なセックスを繰り返す計の態度は、Ω(オメガ)としての生きづらさと無関係ではなかったはず。軽妙なギャグ応酬の裏に『Ω(オメガ)には人生の選択肢がない、α(アルファ)の番になる外に幸せの道はない』という、彼の悲しい諦めを感じてしまいます。次継を愛しながらも世間の価値観に囚われ勇気を持てなかった報いでしょうか。
計は好きでもない相手の番になってしまうのですが、これが予想以上にキツイ状況なのです。
愛する者同士の間ではロマンティックそのものだった番の契約ですが、ボタン1つ掛け違ったとたんに残酷で悲しい鎖となってしまうなんて。正直この発想はなかった……ツラい!
「好き」と呪文のように唱えながら抱かれる場面はエロくて泣ける必見シーンです!
運命感じた初々しいアイツ。一歩ずつでも君に近づきたい♡
陸上部後輩の望月と、彼のΩ(オメガ)のフェロモンに気づいたα(アルファ)の和田のほっこりラブコメ物語。オメガバース世界ではあるけれど、ありふれた高校生活の自然な空気感に和みます。部活の先輩×後輩は鉄板で美味しすぎるだろ♡
Ω(オメガ)としての発情期を迎えてはいるけれど、バース性で縛られた人間関係より好きなバンドの話題で盛り上がれる相手といたいと思う望月は、ごく普通の高校生男子なんですよね。運命だなんて大袈裟なことはまだよく分からないけど、安心できる相手と一緒にいたい。話題や感覚の合う相手が心地良いという感覚に共感できます。
一方でそんな望月を可愛いと想いつつも、友達ポジでは物足りないのがα(アルファ)攻めのサガ。それでもちゃんと相手の意思を尊重し、気持ちを言葉にして段階を踏む和田先輩の紳士的な態度が非常に良きでございます。青春の甘酸っぱさと恋人モードの甘々エッチを、どうぞたっぷりご賞味あれ~!
リトルエヌ先生はオリジナルBLレーベル『pirka*2(ピリカピリカ)』にて「芥辺家の兄弟以上↑↓恋人未満な理由(わけ)」も執筆いただいております♡ 気になる方はぜひこちらの作品も要チェックですぞ♪
不良仲間から凶暴なマスク男・山田つぐみに襲撃されたと聞いたα(アルファ)の恵。つぐみを呼び出し落とし前をつけようとしたその瞬間、周囲に漂うのは甘く芳し~い“あの匂い”!? 鋭い三白眼に鉄パイプ装備という物騒な出で立ちのつぐみちゃんは、ヒート中のΩ(オメガ)であるにも関わらずオラオラなヤンキーモードど真ん中なのです!
待って、これ私の知ってるオメガバースと何か違う……。本能に逆らえないΩ(オメガ)にとって、ヒート(発情期)は最大の弱みのはずなのに……胸張って宣言しちゃうとか、どうなってんですかこの子!? 恵も読者もツッコミが追いつかない謎の疾走感がクセになりそう。
つぐみのお相手となる恵の方も、Ω(オメガ)を虐げるα(アルファ)を許さず自己防衛しないつぐみにも怒るという一風変わったα(アルファ)なのです。
他人の痛みに共感出来る、顔だけじゃなく心までイケメンな恵とワイルド過ぎるつぐみの、じれったい友情&恋から目が離せない!
同じ施設で育ったα(アルファ)で刑事の幸村と、Ω(オメガ)で小説家の円は番の関係。他α(アルファ)にもフェロモンを感知される特殊体質の円は、長年ある秘密を抱えています。やがて幸村が追う事件とも絡み合うようになる、円の不可解な行動とどうしようもない孤独。一番側にいるはずの、愛しているはずの幸村にだけは明かせない真実とは――。
これはオメガバースという世界の中でしか描けなかった物語であり、同時にオメガバースそのものに真っ向から挑みかかった驚くべき作品です。望まない本能に支配される悲しみや屈辱、それを乗り越え愛することの難しさ。オメガバースBLの暗部をえぐり出しながらも綿密に編み込まれた伏線に唸らされ、円と幸村の切ない想いに涙してしまいます。
オメガバースを読み慣れた歴戦の読者の方にこそ、是非手にとっていただきたい1冊。