違法な荷物を請け負う運び屋・唐島は仕事相手のヤクザ・穂積に惹かれるようになる。裏社会の駆け引きが織りなす男たちの物語――。短編集収録の表題作。ヨネダ先生独特のスタイリッシュな描写と完成度の高い物語展開で、あっという間に世界観に引き込まれてしまいます。はじめは異質な存在と感じていたのに、気がつけば穂積にどうしようもなく囚われていた唐島。身体は繋いでも気持ちは一方通行の、切ない関係なのかと思えば……？　巻末収録の後日譚『Night one month after』を読んだら、ぜひもう一度本編を最初からていねいに読み返してみて！　実はあちこちに張り巡らされていた伏線に気づきながら、何度も味わいたくなる骨太ラブなストーリーなのです。

青年誌でも活躍する高橋秀武先生渾身の男色作品！　江戸へと向かう街道筋のある村で始まる、貧乏医者・松庵と美しきやくざ者・雪の純愛物語。無法者の聖天一家から足抜けを図り殺されかけた雪が、太陽のような松の優しさに身も心も癒やされ、文字通り雪解けのようにほだされていく姿が愛しくてたまりません。毎日抱き合う二人の床入り場面の艶っぽさときたら、まさに春画……尊すぎて拝むしかない！　雪の元兄貴分・佐吉をはじめ、二人を取り巻く人物たちもとっても魅力的。高橋先生の優しい筆が血肉の通った江戸世界を生き生きと描きあげています。松が雪のためにせっせと作る素朴なご飯がこれまた、とっても美味しそうなんだ♡　BL初心者さんから達人さんまで、広く楽しんでいただける名作です。

カタギの青年・勇は、山之辺組若頭の十川誠に囲われる愛人の男・ベティを助ける。親の愛を知らず孤独に苛まれる誠は、異母弟であり若頭補佐の相にも暴力的な交情を強いていたが――。ヤクザの内部抗争というストーリーの縦糸に、「何故兄より有能な相が誠に従っているのか」という謎が横糸として絡みつきます。カップリングは確かに「兄×弟」ですが、果たしてこの表記だけで作品のヤバさをお伝えできるのか！？　互いの足りない部分を求め合う、こじらせ過ぎの極道兄弟。絡む二人の身体に刻まれた美しくも妖しいタトゥーは、プロ彫師による本格的な意匠なのだとか。ベティを助けたいと願う勇は、闇に囚われたベティの心を癒やせるのでしょうか。おじさん好きなアナタは、抗争の元となった組幹部らの愛憎劇も見逃さないで！

影島梓は泣く子も黙るヤクザの若頭。でも推しアイドル・陽野光音クンのライブではいつものヤクザルックを返上し、夢中でサイリウムを振り回すガチめな追っかけファン。ところが偶然に仮面を外した光音こと光一郎の素を知った途端、なぜかホテルに連れ込まれて――！？　キラッキラの美形アイドルがまさかの超肉食男子なんて、しょっぱなから度肝を抜かれまくりの問題作ですよ！　一方の梓も普段は完璧なヤクザなのに、ドルオタに戻った瞬間から恋する乙女モード一直線。つまりこれって、結ばれるべくして結ばれた二人なのでは（笑）。ヤクザスーツとオールバックヘアを乱した梓の真っ赤な困惑顔には、ツンツンオレ様光一郎も速攻デレるしかなかったよ……。ヤクザとアイドルの恋人の二重生活は難易度高だけど、ラブラブHの糖度だってバッチリお高めです！

見知らぬ父の訃報を受けたヤンキー少年・伊庭隆之。香港マフィアの血で血を洗う後継者争いに否応なく巻き込まれる中、ライバルとなった美しい義兄・アーサーに一目惚れして――。　原作小説の挿絵を手掛けた乃一先生によるコミカライズ作品。出会った当初はツンツン塩対応だったアーサーですが、ポジティブの権化な隆之の好き好き攻撃の前にはついついガードが緩みがち。兄弟それぞれの後見人であるクレイグとジェイソンの、対立しつつ惹かれ合う大人の関係も美味しすぎるので注目して！　このコミカライズ版だけでもバッチリ楽しめる物語ですが、実はこれ、原作小説4巻中の1巻に当たる部分なのです。つまり、隆之たちの物語は始まったばかりということ……！　黒社会の危険なシーソー・ラブの行方が気になる人は、小説版『H・Kドラグネット』も要チェックですぞ！

身代わり服役を終えたばかりのヤクザ・鬼柳。うっかり軽症を負わせた青年・蛇田の怪我が治るまで「『なんでも屋」の仕事を手伝う」と、強引に彼の家に転がり込むことに。犬の散歩から草むしりまで生真面目にこなす鬼柳の入れ墨入りの逞しい身体に、思わず釘付けになる蛇田だったが――。シレっといけない悪戯を仕掛けてくるくせに、腕の怪我は心配してくれちゃう鬼柳～！　そりゃ蛇田もキュンと来ちゃうよ！　そういうとこだぞ～！　鬼柳がこんなイイ男だからなのか、兄貴分と慕うだけに留まらず異様に執着してくる後輩ヤクザの姫野までどこか憎めないんですよねえ。『なんでも屋」男所帯のリアルな空気感の中、蛇田が初心者の頃は手加減気味だったベッドシーンは、後半から鬼柳が本気出すとがっつり濃厚にアップデート。さらに甘～い巻末番外編も必読です。

カタギに見えない妙な大男に絡まれ、小動物のように怯える学生・新井仁。トンデモ身勝手でどエロSなくせに、仁の家にオカンの如く堂々居座る謎の男・自称「まーくん」の正体は――！？　『面倒見いいし悪い奴じゃないのかも？』なんて仁みたいにうっかり騙されちゃいけません。この男、実はランプの魔神に例えられるほどのスーパーハッカーなのでした。仁の弱さを「そのままでいい」と受け入れ全力で守るまーくんのスパダリぶりにドキドキする一方で、彼に魅入られ追いかけてくる昔の犯罪仲間・ナカモトとの刹那的な関係も切なくて、情緒が行方不明になりそう。罪なオトコですよまーくん。案外図太い仁のズレた言動がツボに入るたび炸裂する、まーくんの悪～い爆笑顔が推せる……。あっ、いつの間にか騙されてたかも！？

スカーレット先生の人気シリーズ「みのりの手」に登場したヤクザの四代目・大和辰之が、今度は主人公に！　失恋を引きずったまま強引に新天地・福岡へと送り込まれた辰之は、ヤケ酒で潰れたところを謎の美形ストーカー男・小鹿望に拾われ一夜を過ごしてしまい――。望の正体が判明するにつれ、辰之本来のめげない明るさと不器用な優しさが心に染みてきます。どちらが抱いているのか分からなくなるほどに包容力のある受けって、不思議な安心感がありますね。各話ごとの美麗なカラー表紙や甘々巻末おまけマンガもバッチリ性癖に刺さる、超充実の一冊です♡　ストーリー中で匂わせがあった妖しいイケオジヤクザ・櫓木の気になる過去は、刊行中のスピンオフ作品「ジェラシー」で是非確かめてみて。