妖怪や獣人、神様etc… 男性同士の異種間恋愛を描いた“人外BL”。え、普通のBLは読んだことあるけど、人外はまだ未経験? なんてもったいない! 種族を超えた愛だからこそ、未知なる世界が思う存分楽しめるというのに…。とはいえ人外BLは、言わば何でもアリの世界。その奥深さに何から読めばいいのかわからないという方も多いでしょう。そこで今回は、選りすぐりの人外BLをピックアップしてみました。
※以下、カップリング=CPと記載
- これぞ正統派人外BL?
- なぜか心がほっこり… ほんわか同居ラブコメディ
- あなたは主CP派? それとも脇CP派?
- 妊娠BLの代名詞、筆者イチ押しのCPは…
- 人外、悪魔、異常性癖、カニバリズム… 人外BLの異端児
- ギャグ風に見えてテーマが深い? 魔王×勇者
- 異色のにゅるんにゅるんラブ!?
- 切なくも美しい愛憎劇
人外BLに純粋なキュンをお求めの方は、オニ×ヒトの人外BLを描いた『食べてもおいしくありません』がおススメ。流され体質の日和が一方的にちゅーちゅーガブガブされる姿は、誰でも興奮できます。あれはずるいって(笑)。
オニといっても昔話に登場するような“鬼”ではなく、その見た目はヒトとほぼ変わりません。ただしヒトである日和は、オニにとって甘くておいしい存在。今までヒトとバレぬようオニに成りすましてきたのに、よりによって強引で巨ツノな同級生・穂高にバレてしまうからさぁ大変です。匂いをスンスン嗅がれたりキスの味見をされたり、挙句の果てには(性的な意味で)食べられる!?
ここからふたりの奇妙な関係性が築かれていくのですが、物語が進むにつれて穂高の独占欲が大暴走! はじめこそ捕食行動として日和を欲していたはずなのに、のちに無自覚な愛が次々お目見えします。そこが尊い。中でも個人的イチオシが、第2巻で登場する薬師の存在。薬師自身のキャラはもちろん、彼の存在によって穂高の独占欲が丸出しになるのがもうたまらん。果たして抗えない本能と快楽が行き着く先は?
虎×ホストの人外BLを描いた『虎穴ダイニング』も侮ることなかれ。“虎に恋するホスト”という突飛な展開を描きながらも、読み終わる頃にはなぜか心がほっこりするから不思議です。これぞ、ほのぼの獣人BLの真骨頂!
さてここで言う虎とは、自称覆面レスラーの同居人・日向。顔はどこからどう見ても本物の虎で、お尻にはご丁寧に尻尾まで生えています。そんな彼と同居生活を送るうちに、いつしか心惹かれていくアカル。基本的にふたりのほんわかした同居生活が物語の軸になっているのですが、とにかくふたりのイチャイチャが可愛すぎる。強いて言うなら、まるで猫と人間がじゃれつく姿を見ているかのよう。とくに日向が寝ぼけてアカルに甘噛みする描写は、個人的にかなり推せます。しかも気持ちよくて、思わず涙目になっちゃうアカルにキュン。服もビリビリにされちゃってさらにキュンキュン。もう永遠に見ていられる。
またアカルはもちろん、日向も可愛らしい一面を持っているのがズルいところ。顔に出さなくても尻尾に気持ちが現れていたり、喉をゴロゴロ鳴らしたり…。ただの猫好きでも推せる(はず)。
人外BLの定番であり、あらゆる性癖を詰め込んだBLコミック『ペンデュラム-獣人オメガバース-』。とにかく私から言えることは、主CPも脇CPもどちらも尊すぎる。というか、少年Ωたちから溢れ出る色気が半端ない!
そもそもΩとは第二の性の一種で、男女関係なく妊娠できる性のこと。人間のΩということでジークフリード家に差し出された少年・カイは、その日から獣人・ルアードに我が子同然に育てられます。やがてカイはルアードの番(つがい)になりたいと願うのですが、当のルアードは―。
私が思うに同作は1粒で3度おいしい作品。物語序盤ではカイとルアードの親子のような描写にほっこりしつつ、その後訪れるカイの発情期で全てを持っていかれます。何なの、あの目に焼きつくような色気は…。見てるこっちまで襲いたくなる。発情期って最高だな(笑)。
そしてもう1つのおいしいポイントは、ジュダとダートによる脇CP。ふたりはいつもいがみ合っているように見えて、じつは離れたくても離れられない絆で結ばれています。口では嫌だ嫌だと言いながらも、決して抗えないダート。すごくイイ。素直になれないツンデレ脇CP、確実にハマります。こちらは「レムナント -獣人オメガバース-」でより詳しく描かれていますので、あわせてチェックしてほしいです。
普通のBLではあり得ない男性の妊娠。しかし相手が人外であれば、男性同士でも妊娠・出産ができます。中でも妊娠BLの代名詞と言われているのが『SEX PISTOLS』。昨今のオメガバース人気の以前から存在しますが、世界観がしっかり作り込まれているので、作品として読みごたえたっぷりです。
まず同作を語るうえで、触れておきたいのが“斑類”の存在。斑類とは動物の遺伝子が部分的に覚醒(斑覚醒)したまま進化したヒト科のことで、簡単に言えばヒトでありながら動物のDNAも持っているような状態です。しかも斑類は男同士の妊娠・出産ができるけど、同時に彼らの愛が試される場面でもあるのがおもしろいところ。果たして推しCPは愛の試練に打ち勝てるのか…。
さて話は戻り、同作といえばいろいろなカップルが楽しめる点も魅力のひとつ。主CPは国政×ノリ夫ですが、その他にも米国×しろ、国政パパ×米国パパ、壱星×一茶などCPが次々登場します。もちろんどのCPも魅力的であるものの、強いて選ぶなら個人的には米国×しろがおススメ。とにかくしろがもう一途しすぎて…。都合のいい女ポジションでも“好きだから”のひと言で受け入れちゃう姿を見ると、彼の幸せを祈らずにはいられません。
Twitterで話題騒然となった大注目作『MADK』。人外、悪魔、異常性癖、カニバリズムなどなど、とにかく同作に対しては“凄い”としか言いようがありません。
まず主人公を含め、キャラクターがみな魅力的で狂気的です。たとえば主人公のマコトは動物の死骸を好み、カニバリズムの性癖を持つ異常性欲の持ち主。そんな彼が魔界の大公爵・Jを召喚したところから物語は始まるのですが、臓器やら喉やら常軌を逸した描写が次々お目見えします。何だったら1話が1番衝撃的だったかもしれない…。しかも同作の凄いところは、グロテスクな描写なのにグロさを一切感じさせないところ。むしろ人によっては美しいとさえ感じるでしょう。じつはかく言う私も、耽美な快楽に溺れるふたりの姿に思わず魅入ってしまいました(笑)。
ちなみに第1話終盤で“のちにマコトは魔界に名を馳せる大公爵・Mになる”と綴られており、彼が今後どのような躍進を見せるのかも見どころ。BL的にもストーリー的にも読者を飽きさせることがないので、目が離せなくなりますよ。それこそ悪魔にでも魅入られたかのようにね。
オニ、獣人、悪魔ときたら、お次は最強魔王なんていかが? 『勇者IN魔王んち』は文字通り、勇者が最強魔王の城に住む話。一見ギャグ調の強い展開のように見えて、じつは命・善悪・差別といったテーマも学べる深い作品です。
たとえば不老不死で最強の魔王・ウィスペドは、年中勇者から命を狙われている身。理由は至ってシンプルで、彼が最強の魔王だから。でも実際は、王として秩序ある暮らしと仕事を全うしているだけなんですよ。それを「魔王だから」という理由で勇者から攻撃されているのであって… もうこの時点で「正義とは何か?」「何が善で、何が悪か?」を考えさせられませんか?
そんな彼のもとに、ある日現れたのが勇者・トゥルー。彼からの「王様の城に住ませて!」という突然の提案で奇妙な同居生活が始まるのですが、トゥルーに振り回されつつもどこか楽しげなウィスペドの姿がとにかく尊い。だからこそトゥルーが昏睡状態になった際には、かなり胸が締めつけられる…。如何にウィスペドの中で、トゥルーの存在が大きくなっていたのかを見て取れます。そしてその結末は…。ぜひ魔王×勇者の同居生活にほっこりしたり、時にキューッと切なさを感じてみて。
先述した通り、人外BLは言わば何でもアリの世界。つまりアサリとだって恋愛可能です。
美形アサリ×クール大学生のにゅるんにゅるんラブを描いたBL漫画『アサリと俺』。物語は潮干狩りに来ていた大学生・葵が、巨大なアサリを見つけるところから始まります。すると突如、アサリの中から美青年がパッカーンと誕生! 葵を見るなり、とんでもないお願いをしてきて… というのがおおまかなあらすじです。なんじゃそりゃ。
アサリ×大学生というとんでも設定もさることながら、ストーリーもかなりぶっ飛んでいる同作。その分ギャグ線も高く、何よりエロいから驚き…。アサリって何? アサリから美男子誕生ってどういうこと? もはやツッコミを入れたら負けです。人外BLもここまできたかと思いながらお楽しみください。
ちなみに個人的推しはアサリではなく、褐色ショタのミル貝。あれはもう存在自体が犯罪の気が(笑)。とりあえず「ミル貝」でネット検索すればわかります。しかも人間攻めも、ミル貝受けの展開もあり。とくに変態教授によるミル貝触診では、彼のあんな顔やこんな顔が。こちらとしてはご馳走様って感じですが、ただ今後貝を食べられなくなりそう。
最後は、鳥人×人間が織り成す人外BL『鴆-ジェン-』。そもそも鴆(ジェン)とは毒を好む妖鳥で、溜め込んだ毒を色に変えて美しい羽根をつくります。いつしか人々はその羽根の美しさに魅せられ、より美しい鴆を飼うことをステータスとするように。同作はそんな世界を舞台にした作品です。
主人公は、かつて鴆の毒によって兄を殺されたフェイ将軍。その鴆というのが、フェイのもとで飼われているツァイホンでした。はじめこそツァイホン=危険で生意気な鳥人というイメージを持ちますが、物語が進むにつれてどんどん彼の可愛さが滲み出てくるように。というか根が素直なんですよね。フェイに対してツンかと思いきや、めちゃくちゃ健気ですし…。そんなところにも思わずキュン。加えて兄殺害のあらましなども知ると、さらに可愛く思えてきます。
しかもツァイホンが受けなのも個人的にはツボ。普段強気なキャラクターなのに、途端に色気のある顔をするのがたまりません。そしてフェイもフェイで少なからずツァイホンに対して愛があるのが良き。まさに憎しみと愛が交わる人外BL。果たして彼らの先に待つものは愛か憎しみか、それとも…。