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“何かを生み出す”ってこんなにもアツい…! 悩み、苦しみに立ち向かう“クリエイター”漫画特集

藤子不二雄(A)先生の「まんが道」など、数多くの名作が揃うクリエイター漫画。2012年に完結した大場つぐみ先生と小畑健先生の「バクマン。」も大人気でしたよね。今回は、「まんが道」「バクマン。」に負けないくらいアツいクリエイター漫画の数々をご紹介。漫画家だけでなく、デザイナーやアニメーターなど様々なクリエイターが登場します。モノづくり業界の裏側を覗きながら、普段は味わえない生みの苦しみと喜びを追体験してみませんか?

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ド素人が美術の世界に飛び込んだ! 美大受験に挑むクリエイターの卵?

ポイント

マンガ大賞2020で大賞を受賞した美大受験物語「ブルーピリオド」。昨年はアルフォートのコラボCMにタイアップされたこともあり、作品名は聞いたことがあるという人も多いのでは?
まず何が凄いかというと、主人公・矢口八虎の努力家な一面。彼が志望する大学は日本一倍率が高いと称される東京藝術大学で、八虎が受ける油画専攻は応募者1000人強に対して現役合格者は毎年5名ほど。倍率に換算すると、実質200倍の世界です(震)。
しかも八虎はド素人から受験をスタート。もはや無謀にも思える挑戦ですが、ここからの努力が凄かった。時に周りとのブランクやプレッシャーに苛まれながらも、とことん絵と向き合っていくのです。もちろん葛藤に潰されかける時もあるものの、それを支える八虎の友だちがまた良い奴ばかり。これぞ青春って感じ。
実は、作者の山口つばさ先生自身も藝大出身。作中に登場する創作物の中には、実際の学生たちの絵も含まれているそうです。だからこそ台詞の1つ1つに説得力が増し、素人目にも絵の個性や技術などが理解しやすい。絵に全く興味のない人でも、美術の世界に惹きこまれるはず。

 

残業残業残業!ブラック…でもついつい続けてしまうゲーム制作の面白さ

ポイント

無茶なスケジュール、必要性のないタスク、残業残業残業… 業界のブラックな部分を楽しみたい方は、ゲーム会社を舞台にした「これだからゲーム作りはやめられない!」をぜひチェックすべし。第1話から「最近いいこと無いなぁ…」「なんで私 この仕事選んだんだろ」などと、主人公・飯島めぐみのメンタルがすでに限界です。
ただここから少しずつ仕事の楽しさを見出していくから面白い。そのカギとなるのが、3Dデザイナーで後輩の南拓也。彼はめぐみと違っていつも生き生きと働き、毎日残業続きでもへっちゃら。そんな彼に影響されて、いつしか忘れかけていた仕事のやりがいを取り戻すように―。仕事は大変。でも楽しい部分もある。本作はそんな当たり前のことを思い出させてくれます。それこそゲーム業界で働く人に限らず、働く全ての人々にも。
また仕事に追い込まれていくキャラたちをコミカルに描いてるのもいい。徹夜明けのめぐみの顔が低解像度と表現されたり、もっと酷い人は人間の姿を保てず顔がドロドロになっていたり。シリアスをあえてシリアスにしないおかげで、オモシロおかしく読むことができます。まぁ本人たちは洒落にならないでしょうが(苦笑)。

 

映画以上のドラマがある? ヒエラルキー最底辺の助監督物語

ポイント

映画監督だってラクじゃない。ましてやヒエラルキー最底辺の助監督は、毎日コキ使われてばかり。「オールラッシュ! 映画を作る物語」の主人公・波野洋輔は、映画監督を志す1番下っ端の助監督。そもそも助監督って何をするかご存知ですか? 要は監督のサポート。もっと言えば雑用全般です。たとえば警察に許可を取って通行止めにしたり、現地でエキストラを集めたり。彼の場合、映画っぽい仕事といえばカチンコくらい。雑用ばかりの毎日に波野はふとこう思うのです。今の状況でどれだけ自分の夢に近づけているのだろうか、と―。
悩んで落ち込んで、時に他人を妬みながら、それでも彼の行き着く答えは“やっぱり映画が好き”。主人公が苦悩や葛藤を乗り越える様子を通して、きちんと映画製作への希望が描かれています。
ちなみにエピソードの副題は、全て映画のタイトル。こういった細かな部分にも、ねじがなめた先生のこだわりが感じられますね。そうそうねじがなめた先生といえば、昨年「pirka*2(ピリカピリカ)」にて「先生(おれ)の気持ちを答えなさい」を執筆していました。高校教師のBL作品ですが、気になる人はこちらもぜひ!

 

特殊メイクアップアーティストが主人公? 本格SFXアクションコミック

ポイント

「週刊ヤングジャンプ」で連載されていた「ギミック!」は、特殊メイクアップアーティストが主人公という少しマニアックな作風。原作は「金田一少年の事件簿」を手掛けていた金成陽三郎先生で、先生らしい作り込まれた世界観が見る者を惹きつけていきます。
一般的な業界ものと決定的に違うのは、本作が特殊メイクの技術を駆使したSFXアクションコミックであること。主人公の永瀬公平がスタントマンの友人・神無月を相棒に、様々な事件や問題を解決していくストーリーです。しかもファンタジー要素が強そうに見えて、きちんと特殊メイクのリアルに迫っているからびっくり。物語の随所には、特殊メイクの裏側や実際に使われている技術などもきちんと紹介されています。中には「それは無理だろ」と思うような描写もありますが、そこはあくまで漫画なのであしからず…。
また特殊メイクに限らず、アニマトロニクス(生物を模したロボット)やマットペイント(実写映像と背景画を合成する技術のこと)といった他のSFXも数多く登場。物語を通して様々な技術を知れるので、いつの間にか特殊撮影の世界にハマってしまうかも。

 

厳しいアニメーターの世界でなぜか胸キュン… がむしゃらガールの奮闘記?

ポイント

「西荻窪ランスルー」は、高校を卒業したばかりの女の子・江田島咲がアニメーターとなって恋も仕事もひたすら頑張るがむしゃら群青劇。厳しい業界で働く主人公たちの、仕事にかける熱量や人間模様などがメインに描かれています。
たとえば登場人物の1人・三津吉春は、1児の母でありながら現場を仕切る女監督。アニメのクオリティーが少しでも低いものなら、何度だってやり直しを要求します。人呼んで、スタメロのゾーマ(ドラクエのラスボス)。でもその裏には温かい人柄も隠れており、中でも印象的なのが主人公たちに放ったある台詞。ひと仕事を終えた新人たちに何て言ったと思います? 「あなた達のちっさなリテイクで作品の質は落ちませーん」「私が落とさせないです!」「だから恐れずどんどん描いて」ですって。頼もしすぎて危うく惚れかけました(笑)。
また本作は仕事だけでなく、胸キュン必至のオフィスラブも楽しめるのが味噌。主人公が誰かに恋をするというパターンではなく、同僚に想いを寄せられるという展開も特徴的です。ちなみにその相手というのが、仕事はできるけどツンツンした性格の同僚。オレ様男子と主人公の恋路にも要注目ですよ?

 

女同士のプライドが渦巻くドロドロ愛憎劇へようこそ

ポイント

女と女のプライドがぶつかり合う、一条ゆかり先生の「デザイナー」。本作はファッション業界を舞台にした物語なのですが、とにかく展開が昼ドラ並みにドロッドロ…。さすが一条先生と言うべきか、主人公が幸せを掴もうとする度に恐ろしい事実が次々明かされていきます。ここからは少し内容にも触れていくので、ネタバレにご注意ください。
そもそも主人公・亜美の身に起きる不幸な出来事が多すぎる。ひょんなことから自分を捨てた母親の正体を知り、気が動転した彼女は衝突事故を起こしてしまいます。これが原因で右足の神経を傷めた亜美は、モデル人生を泣く泣く絶たれる羽目に。さらに想いを寄せていた男性が実の父親だったことが発覚するなど、読めば読むほど衝撃の連続。ここから亜美は全ての元凶である母親に復讐を誓い、彼女と同じデザイナーの道を歩み始めるのですが…。
ファッション業界という華やかな世界を舞台にしながら、描かれているのは暗くてドロドロの愛憎劇。このアンマッチな感じが作品により深みを与え、独特の世界観から目が離せなくなります。しかもラストの後味の悪さときたら…。今回厳選した8作品の中でも、唯一無二の異質な物語です。

 

恋愛? それとも師弟関係? イケメン少女漫画家と女子高生の成長物語

ポイント

主人公の成長物語を堪能しつつ、同時に胸キュン? なラブコメ要素も楽しめるのが少女漫画家を題材にした「今日も明日も。」。何が胸キュンかって、プロの少女漫画家(男)・桃瀬稜とその弟子・笹神ちかの師弟以上恋人未満な関係性がヒジョーに尊い。ちかが成長する姿を描くだけでなく、彼女の言動を通じて稜も学びを得ていくところがまた面白いんです。
はじめこそちかの弟子入りを嫌がっていた稜ですが、いつのまにか彼女を誰よりも大切にするように。この関係性に、もうキュンキュンが止められません! ちなみにちかは高校1年生、稜は23歳の成人男性で、2人の年齢差は8歳差。え、これって恋愛に発展するの? それとも師弟止まり!? …とドキマギしながら読んでみるのもまた一興ですよ。
もちろん漫画のハウツーやノウハウなども掲載されているので、リアルなお仕事の姿が見られるのも◎。加えて本作には、絵夢羅先生の代表作「Wジュリエット」の三浦糸と成田真(天野真琴)も登場します。ちかの同級生の母親・父親として出演するので、Wジュリファンもチェックする価値ありです。

 

個性派揃いのデザイン事務所で装丁屋ライフを覗き見る

ポイント

漫画家にスポットを当てた作品は数あれど、装丁デザイナーの物語はまだまだ珍しいはず。「まんがの装丁屋さん」は、文字通り装丁デザイナーが主人公のお仕事漫画。そもそも装丁とは本の見た目、言わば本の顔に当たる部分を作ることです。本作では装丁デザイナーの仕事をわかりやすく4コマ形式で描いており、登場するキャラクターもみな個性的で可愛い。たとえば冬坂デザイン事務所社長・冬坂律はバリバリのキャリアウーマンですが、じつは絵がもの凄く下手。「いっいいのよ!!」「まんが家じゃないんだからッ」と言いながら恥ずかしそうな表情を浮かべる姿は、男女問わず誰もが可愛いと思えるはずです。
もちろん魅力はそれだけでなく、人物紹介ページ1つをとっても書籍づくりの裏側が垣間見えるのがポイント。というのも第1巻の人物紹介には、修正希望内容を記した赤字がいっぱい。「イラストをもっと大きくしてください」「画像、アタリになってます!」などの指摘が至るところに記されており、それだけでも業界の雰囲気がしっかり感じられます。装丁デザイナーに興味のある方は、ぜひ冬坂デザイン事務所の門を叩いてみては?

 
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