2015.5.8発行
勝手に読書
vol,23
Special Interview
松田奈緒子
いい作品を作りたい。売れる作品を作りたい。いい作品を売っていきたい。漫画に関わる様々な仕事を担った人々の葛藤と闘いを描く『重版出来！』。漫画好きな読者だけでなく、業界内からも熱き視線を送られる話題作について、松田奈緒子先生にお聞きしました。
Profile
まつだ・なおこ／1996年、「ファンタスティックデイズ」でデビュー。『コーラス』に掲載された『レタスバーガープリーズ.OK,OK！』が注目を集め、以来多くの漫画ファンから支持を受ける。『月刊！スピリッツ』（小学館）にて『重版出来！』連載中。
- ――いつ頃から漫画家になりたいと思うようになりましたか？
- 松田 小学５、６年生くらいから「漫画家さんになる」と信じて疑わず、お絵描きをし、漫画を読み、テレビを見て、友達と外で遊び回り、勉強はいっさいせず、そんな感じで中学生の時Gペンを持ち、『りぼん』に投稿し、まったく箸にも棒にもひっかからず、それでも漫画家さんになるもんだと疑ってませんでした。現実を知らないあほな子供でしたが、それが良かったのかもしれません。
- ――シーンやセリフ、キャラクターなど、何を核にネームを考えることが多いですか？
- 松田 シーンが出てくるので、それを集めてつないでネームになっていきます。感情とか衝動とかが核になってお話になっていく感じです。
- ――漫画を描くときに欠かせないものはありますか？（音楽・飲み物などなど）
- 松田 手の下に敷くガーゼのハンカチ。デビュー以来使っていてぼろぼろです。
- ――漫画を描く作業（ネーム、下描き、ペン入れ…など）の中で、もっとも好きなのはどの部分ですか？ また、苦手なのはどの部分ですか？
- 松田 苦しいのはネームです。集中力が日常生活からかけ離れた量必要になるので、本当に苦しい。ネームができれば天国です！ 絵を描くのは好きで、ペン入れも大好きです。
- ――読者からの手紙や言葉で特に印象に残っているものがありましたら教えてください。
- 松田 いつも温かい励ましの言葉をいただいて感謝してます。「『重版出来！』を読んでから、今までよりも自分の手元にある漫画単行本が愛おしくなった」とか「書店に行くようになって棚をしげしげ見るようになった」とか、ほんとに嬉しいです。
- ――同業者であるまんが家の方や編集者からの言葉で特に印象に残っているものがありましたら教えてください。
- 松田 昔から知り合いの編集さんや担当さんが、「松田さんが売れてうれしい！」と自分のことのように喜んでくれて感激しました。
- ――漫画家になってよかったなあと思うのはどんなときですか？
- 松田 笑顔で接してくださる方が多いのと、時間を自分の裁量で使える事。そして、萩尾望都先生と対談させていただいた時!!!!
- ――デビュー当時と現在とで、漫画家としての心境の変化はありますか？
- 松田 多くの人に楽しんでもらいたい、という気持ちが強くなりました。デビュー当時は自分の都合しか考えてなかったので。
- ――デビュー当時の自分に現在の自分からなにかアドバイスを贈るとしたら、それはどんなものでしょうか。
- 松田 今はそれでよし。
- ――2015年の目標はなんですか？
- 松田 健やかで、仕事にいいかんじに集中したい。遊びは仕事のために大事なのでしっかり遊びたい。
- ――最後にひかりTVBOOKを利用している読者へメッセージをお願いいたします。
- 松田 ぜひこれからも、楽しい本たちと出会ってください。皆様の新しい扉が開きますように！ 『重版出来！』宜しくお願いいたします！
- ――ありがとうございました。
©松田奈緒子／小学館