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2014.10.01発行

勝手に読書

vol,17

勝手に読書伝説

それでも世界は美しい

Special Interview

椎名橙

世界を制服した太陽王リビのもとに政略結婚の相手として嫁ぐことになった、雨を降らすことのできる公女ニケ。ファンタジックな世界を舞台に心あたたまるストーリーを紡ぎだす椎名橙先生に、作品誕生の経緯など書面でお答えいただきました。

Profile

しいな・だい/8月21日生まれ。東京都出身。2003年に「60か月」(白泉社『ザ花とゆめ』2003年4月1日号掲載)でデビュー。現在、白泉社『花とゆめ』にて『それでも世界は美しい』を連載中。

面白いと言ってもらえるのが何より

それでも世界は美しい

砂の皇国の皇太子イラーダとともに、砂漠化が進む皇国を訪れたニケ。彼女の明るさと優しさに心惹かれたイラーダは、彼女を手元に置こうとするが…。

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――子どもの頃の将来の夢はなんでしたか?
椎名 良妻賢母(小6)
――いつ頃から漫画家になりたいと思うようになりましたか?
椎名 漠然と意識し始めたのは中3で、本格的に目指し始めたのは大学に入ってからです。
――漫画家になるためにこれは我ながらがんばった!と思うのはどんなことでしょうか。
椎名 投稿です! 13回投稿したうち、10回選外でした。ちょっと頑張ってみると、いいことがあるかもしれません。
――きちんとコマを割ってペン入れをして原稿を描きあげたのはいつ頃、どんな作品でしたか?
椎名 中3の初投稿です。内容はあまり覚えていませんが、学園ものだったかな。
――シーンやセリフ、キャラクターなど、何を核にネームを考えることが多いですか?
椎名 連載だとキャラクターですが、読み切りの場合はどちらとも言えません。タイトルからお話やキャラを膨らませることも多いです。「ワールドエンドガーデン」(『ザ花とゆめ』2008年3月25日号掲載)あたりは、言葉の響き先行で、シチュエーションを考えていました。
――どんなときにストーリーを思いつくことが多いですか?(寝転がっているとき・机の前で・散歩中・入浴中…などなど)
椎名 読み切り時代は、お風呂場の脱衣所とか、バイトのシャッターをおろすときとか…。単純作業の時に浮かぶことが多かったです。
――漫画を描くときに欠かせないものはありますか?(音楽・飲み物などなど)
椎名 音楽をどんどこ鳴らしながらやっています。
それでも世界は美しい

政略結婚から逃げたい湖の王国の第一王女ルナの頼みで、男装して恋人のふりをすることになってしまったニケだったが、事態は思わぬ方向に!

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――漫画を描く作業(ネーム、下描き、ペン入れ…など)の中で、もっとも好きなのはどの部分ですか?
椎名 ネームです。一番怖い作業でもあるのですが、キャラクターの息吹みたいなものが発露する醍醐味を味わえるので。
――また、苦手なのはどの部分ですか?
椎名 作画が…全般苦手で…特にツヤベタは、時間がなくて泣いています。
――これがなくては絶対に描けない!という愛用の画材をひとつ教えてください。
椎名 ペン先(立川の丸ペン)。ペン先業界の方、がんばってください!
――読者からの手紙や言葉で特に印象に残っているものがありましたら教えてください。
椎名 素直に「面白い」と言って頂けるのが、一番響きます。それと、きれいな写真やポストカード(風景のおすそわけだったり…)を頂いたりするのも、すごく励みになります。
――同業者であるまんが家の方や編集者からの言葉で特に印象に残っているものがありましたら教えてください。
椎名 前担当さんに言われたことです。初めて続編を描くようになったけれどコツがわからないときに、『起こるべきエピソードを、起こるべき順番で描いていけばいいだけだよ。突飛なことをやらなくても、地味でもいい』という言葉。
――プロの漫画家になったのだと実感したのはどんなときでしたか?
椎名 初めてコミックスが出た時ですね。最初、書店には恥ずかしくて見にいけなかったです。
それでも世界は美しい

男装が周囲の女性たちから大好評だったニケ。もともと高かった彼女の人気にさらに拍車が(笑)。

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――これまでに描かれた作品の中で、特に印象深い作品は何ですか?
椎名 投稿作で初めて2位になった作品(雑誌未掲載)。「自分はこういうことがやりたいんだ」と掴めた作品です。やりきった感じもあって、評価もついてきて、コツが掴めた。思えばそれも“おねショタ”でした(笑)。
――漫画家になってよかったなあと思うのはどんなときですか?
椎名 作品を読んで「面白い」と言っていただけるときが何よりでございます。
――デビュー当時と現在とで、漫画家としての心境の変化はありますか?
椎名 デビュー当時は、ぼんやりしてました…。「これで食べていかねばならん」という意識は、今の方が強いです。
――デビュー当時の自分に現在の自分からなにかアドバイスを贈るとしたら、それはどんなものでしょうか。
椎名 もっと量を描きなさい。もっと必死になりなさい。ぼんやりしてるんじゃないよ!(デビューからコミックスが出るまで、7~8年かかったので。)
――今後新しく挑戦してみたいことがありましたら教えてください。
椎名 昔出してボツになった不完全燃焼のネームを、練り直してやってみたいなと思います。
――2015年の目標はなんですか?
椎名 体力をつける! 元気にお仕事させてもらえると良いなと思います。
――最後にひかりTVBOOKを利用している読者へメッセージをお願いいたします。
椎名 『それでも世界は美しい』、よろしければ読んでみていただけると嬉しいです! 頑張りますので、これからもニケとリビを見守って頂けるとありがたいです!
――ありがとうございました。

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風呂敷の広げ方とたたみ方が難しい

スペシャルガイド

それでも世界は美しい コミックス情報

  • それでも世界は美しい(1)を読む
  • それでも世界は美しい(2)を読む
  • それでも世界は美しい(3)を読む
  • それでも世界は美しい(4)を読む
  • それでも世界は美しい(5)を読む

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©椎名橙/白泉社

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