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シークレットモード

2014.09.03発行

勝手に読書

vol,16

勝手に読書伝説

青空エール

Special Interview

河原和音

何度も挫折を繰り返して、泣きながら、それでも夢をあきらめずにがんばるつばさの姿に多くの共感と応援が寄せられる「青空エール」。きらきら眩しい高校生たちの汗と涙の青春ストーリーは、どんなところから生まれたのか。作者である河原和音先生に書面でお答えいただきました。

Profile

かわはら・かずね/3月11日生まれ。1991年に「彼のいちばん好きな人」(集英社『別冊マーガレット』4月号掲載)でデビュー。現在、集英社『別冊マーガレット』にて「青空エール」を連載中。

正しい心で描くようにしたいなぁと思っています

青空エール

自分の演奏に自信が持てなくて吹きマネをしたつばさを咎める、つばさと同じトランペットパートの水島。常に直球で正直な水島の言葉は、時折つばさの胸を抉る。

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――最初に生まれたキャラクターは誰でしたか?
河原 つばさと大介をセットで考えました。だいたいいつも男の子と女の子を両方セットで考えていきます。
――主人公であるつばさのキャラクターを造形する際、気をつけた点や苦労した点を教えてください。
河原 自信はないけど必要以上に卑屈にならないように、気をつけてます。すぐ悩んで重くなるので、素直さだけはなくさないようにしてるのですが、難しいです。
――つばさが思いを寄せるクラスメイトの大介のキャラクターをつくるにあたって気をつけた点や苦労した点を教えてください。
河原 大介は、自分の好きな感じに造形しているだけなので、苦労は、坊主でシリアスなところになると「前髪がほしいな…」と思うことくらいです。楽しく描いてます。上手くは描けないですけど。
――つばさや大介たち以外にも、それぞれがんばっている高校生が『青空エール』には多く登場しますが、彼らのキャラクターをつくるにあたって、特に意識した点はどんなところですか?
河原 いろいろな考え方の人やいろいろな立場の人がいるし、性格だって違うよね…と思うので、1人ずつそのへん(考え方、立場、性格かなぁ…。偉そうですみません)を大事に考えてます。そういうのを考えているのが楽しいのです。あとは、見た目をなるべくわかりやすく変えようとはしています。
――特に動かしやすいキャラクターは誰ですか?
河原 水島とまるちゃんは動かしやすいです。水島は、何を言わせてもいい気楽さがあるからだと思います。
――反対に、動かしにくいキャラクターは誰ですか?
河原 「こんなこと言わせて読者の方に嫌われたり、ついていけないと思われたらどうしよう」と主人公たちにはどうしても少し思うので、動かしにくいです。どう思われてもいいなと思っている水島や、まるちゃんは動かしやすいです。でも、つばさも大介も素直なので、そんなに動かしくにくくはないです。
青空エール

部活で親しくなった、つばさの大切な友達・まるちゃん。温和な性格で周囲にも好かれている。実は水島のことが好きで…。

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――もっと描いてあげたいな、と思われるキャラクターは誰ですか?
河原 陽万里です。陽万里とつばさの話も本当はどこかでやれたらよかったんですけど、今思うとあそこだったかなというところでとばしてしまって、悔やまれます。
――ご自分にいちばん似ていると思うのは、どのキャラのどんなところですか?
河原 つばさかなぁ…。恥ずかしいけれど、落ち込みやすいのに変に前向きで、つばさに似てると思います。でも親しくなると、水島並みに毒舌になるので…。つばさになったり、まるちゃんになったり、大介になったりしていると思います。漫画家さんはみんな、そんな感じな気がしてます。トランペットも野球もがんばってないつばさたちです。いいところはあんまり似てなくて、困ったとこだけ全体的にどのキャラクターにも似てます。
――キャラクターの心情を描くにあたって、特に気をつけているのはどんなところですか?
河原 自分じゃなくて、つばさならつばさ、大介なら大介が、考えたり思ったりしてることなんだというのを見失わないように気をつけてます。見失うと、担当さんが直してくれます。
――『青空エール』は、恋愛面だけでなく、吹奏楽部や大介が所属する野球部の面々の群像劇もしっかりと描かれています。そういった面を描く際に、気をつけているのはどんなところですか?
河原 気をつけているというか、悩んでいることですが、部活パートになると、どうしても大介が出しにくくなってしまうので、そこに苦労してます。あと部活ばかりになると、読者さんの求めてるものから外れてしまうのではないかと、どっちつかずになったりしてしまいます。でも、実際の読者さんはそんなに単純ではないので、部活パートでも面白いと感じれば読んでくれるし、恋愛パートでもつまらないと感じれば、読み返したりしなかったりするんだよなぁと思って、どっちを描くにしても中途半端にならないように、面白くなるように描こう!!と、今は思ってます。
――悩んだり、迷ったりしながらも、がんばって前に進んでいこうとするつばさをはじめとした『青空エール』の高校生たちが大好きです。〈高校生〉という時間を過ごしている彼らを描く際に、大切にしようと考えている点がありましたら教えてください。
河原 ありがとうございます。うれしいです。愛情を持って描くよう心がけています。正しい心で描くようにしたいなぁと思っています。
青空エール

クラスメイトの陽万里は、がんばり屋のつばさを応援してくれるよき理解者。人ががんばる姿を笑うような人が許せない熱い一面も。

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――これまでに描かれたエピソードのなかで、特に印象深いエピソードとその理由を教えてください。
河原 3巻のトランペットを球場で吹くところは描きたかったので、描けてうれしかったです。あと、つばさがメンバー落ちして泣くところです。つばさが自分の悔しい気持ちを口に出せたり、泣けたりしたのが描いて気持ちよかったし、成長したなぁとしみじみしました。
――読者から反響が大きかったエピソードを教えてください。
河原 これは担当さんに聞いてみないとわからないです。いただくお手紙だと、近い立場のエピソードに共感していただけたりして、いろいろな読み方をしてもらっているなぁと思います。うれしいです。
――読者からの感想で特に印象深かったものがありましたら教えてください。
河原 「私もがんばろうと思った」というようなお手紙をいただいて、描いて本当によかったなぁと思いました。いただくお手紙のほうが感動的で、私が泣いてます。
――先生ご自身の部活動での体験や思い出が作品に存分に活かされているのでしょうか?
河原 多少は…。漫画を通して部活動を追体験させていただいている感じです。
――この作品だからこそ、描くときに気をつけている点、大切にしている点がありましたら教えてください。
河原 エピソードとの関わりを通して、主人公や周りの人たちが成長しているところをきちんと描けるといいなと思っています。少しずつでも成長や考え方の広がりを描けるようにと思っています。時間軸に沿って大会やイベントが起こるので、そこで描き残す気持ちがないように、一生懸命考えてます。
――目に見えない〈音〉を描くにあたって、意識しているのはどんなことでしょうか。
河原 上手く描けてないです。わかりやすく伝わるように描くにはどうすればいいのか、試行錯誤中です。
――今後の見どころをぜひ教えてください。
河原 今後はつばさの最後のコンクールがあるので、見守っていただけるとうれしいです。あと、最終回を読むのも描くのも好きなので、最終回がんばるのでよろしくお願いいたします。

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最初から成長していくところが描きたかった

なるべく長く漫画描きたいなぁと思います

青空エール コミックス情報

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©河原和音/集英社マーガレットコミックス

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