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勝手に読書伝説Vol.15.3 特集 ゲストインタビュー

勝手に読書伝説Vol.15.3 特集 ゲストインタビュー

プロフィール
津原泰水(つはら・やすみ)
1964年広島市に生まれる。青山学院大学国際政治経済学部卒。少女小説作家“津原やすみ”としての活動を経て、97年に現名義で『妖都』を発表。以後、ジャンルを越えた執筆活動に入る。2006年刊行の『ブラバン』はベストセラーに。09年の『バレエ・メカニック』、11年の『11』(第2回Twitter文学賞受賞)は、各種ランキングを席巻した。その他著書多数。
プロフィール
小中千昭(こなか・ちあき)
1961年東京都生まれ。特殊脚本家、作家。成城大学文芸学部(映画記号学)卒業。映像ディレクターとしての活動を経て、1989年ビデオシネマ『邪願霊』で脚本家デビュー。ホラー作品を数多く手がけ、後のJホラーと呼ばれる作品群のイディオローグ的な存在となった。その後アニメ、映画、テレビドラマ等に脚本を提供。
 
『音楽は何も与えてくれない』と『恐怖の作法:ホラー映画の技術』の新刊が発売されたことに伴うライブ&トークイベント「音楽の作法は何も与えてくれない」を取材させていただきました。かねてからの盟友である二人が、和気藹々と語る和やかなトークイベントとライブの真剣さのギャップが印象的でした。
「低音倶楽部」の始まり~高価なベースを買う人のオフ会のようなもの
 
津原: はい。えーっと、何の話をしましょう? とっかかりとして。
小中: このバンドの始まりから。
津原: じゃあ、僕、早口だとよく言われるんですけども、手短に流麗にしゃべりますと、僕の『音楽は何も与えてくれない』という本に、ジョン・レノンの「イマジン」やジョージ・ハリスンの「マイ・スウィート・ロード」など超名曲で弾いているクラウス・フォアマンという伝説的ベーシストでもある画家が……。
小中: 「リボルバー」のジャケットを描いた人ですね。
津原: そうそう、ビートルズのアルバム「リボルバー」のジャケットのイラストを手がけたアーティスト。「リボルバー」は、そのイラストさえ、グラミー賞のアルバムジャケット部門を受賞しているんですよ。つまり、その年の最高峰だった。でも日本人のほとんどは、そのイラストを描いたアーティストと、ジョン・レノンのうしろでベースを弾いている人が同一人物だと気付かなかった。というのも、ドイツ人なもんですから、表記が一定しなかったからで。ブアマンとかボーマンとか、ほんとはクラウス・フォアマンと発音するようです。その方の絵の、まぁ、額縁を……。
小中: いや、そもそも、その絵を。
津原: あ、そっか。僕、今、幻冬舎の文芸誌「ポンツーン」で「ヒッキーヒッキーシェイク」っていうふざけたタイトルの小説を連載しているんです。で、その連載が始まる前に、あるところで、クラウス・フォアマンさんのご友人と知り合ったんですよ。雑談しているうちに、クラウス・フォアマンを、もうちょっと日本で評価してもらう方法はないか、という話になった。クラウスさんは、ドイツでは「5人目のビートルズ」って言われているんですけど、残念ながら、日本ではそれほど有名ではない。大ファンの僕でさえ、今も元気に画家としての活動をやっていらっしゃるってことは知らなかったんです。そこで僕は、図々しいかもしれないが、僕の本のカバーを描いてくれないかと提案した。
小中: 突然?
津原: そう、突然(笑) なぜなら、日本は印刷の技術が非常に高いし、書店も欧米に比べると考えられないくらい多い。本のカバーになると、日本中の書店にクラウス・フォアマンの絵が並ぶことになる、と。すると、そのご友人はクラウスさんに話をしてくださって、クラウスさんからもすぐに「そのプロジェクト、面白そうだから、ぜひ描きたい」という返事がきた。ドキドキして待っていると、完成したイラストをスキャンしたデータが送られてきた。ところが、日本の印刷のレベルっていうのはあまりにも高いものだから、ドイツとギャップが大きくて、そのデータは印刷に使えなかったんですよ。仕方がないから、現物をクラウスさんに送ってもらうことになった。
小中: 購入したんですか。
津原: そう、クラウスさんもちょっとちゃっかりしたところがあって、著者にだったら安く売るよ、だって(笑) まぁ男だから買うか、と。結構な価格でしたよ、うん。ちなみに、そのイラストは、連載の挿画としても使っています。で、イラストを買ったんだから、額に入れなきゃということになり……。
photo01
小中: そっから、僕が話すね。一年くらい前、新宿のイシバシ楽器で、ぼーっと中古のエフェクターを見ていたら、突然、「小中さん!」と声をかけられたんです。振り向くと、茅原さんっていう幻冬舎の編集者で、「今、そこで津原さんと待ち合わせてるんですよ」と言う。「何なの?」と問うと、送られてきたクラウスさんのイラストを入れる額を、近くの世界堂(画材店)で選ぶことになっている、と。一緒に待っていると、津原さんがやってきた。3人で話していると、茅原さんがベースを弾くことが分かった。僕も津原さんもべーシストだから、なんだ、べーシストばっかりだ、と盛り上がったんです。これは、一番ツブシのきかないパターンで。
津原: どうにもなんないですよね。
小中: んで、最初はふざけて、じゃあ3人でスタジオ入ろうか、と。
津原: そう、自慢の楽器を見せ合おうっていうのがきっかけだったんですよ。
小中: 最初は、それぞれがベースを2本3本持ってきて、並べて写真撮って、どうだ!みたいな(笑) よくありますよね、高価なベースを買う人のオフ会みたいな。そのうち、単に並べるだけじゃ面白くないから、僕が軽音のキーボードの後輩を呼んできたりして、いや、意外と、これ、ありなのかなって、演奏を始めてみることになった。
津原: ベース3人でぐちゃぐちゃになるかと思ってたら、なんとなく音楽として成立しちゃったんですよ。(このトークのあとに)実際に聴いていただいたら、ぐちゃぐちゃになってやばいとこもあるかもしれないけど。
小中: ちょっと気持ち悪くなるかもしれないですね(笑)それで、津原さんが「低音倶楽部」という名前をつけたんだよね。
津原: そうそう。
小中: 去年の後半は月1くらい、春からは月2くらいで練習をしました。
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