2014.08.04発行
勝手に読書
vol,15
Special Interview
咲坂伊緒
王道の青春ラブストーリーといえる「アオハライド」。多くの人の胸を切なくさせるこの作品は、いったいどんなことから着想されたものなのか。作品を描くうえで意識していることは？ などなど、咲坂伊緒先生に書面でお答えいただきました。
Profile
咲坂伊緒／6月8日生まれ。1999年に「サクラ、チル」（集英社『デラックスマーガレット』11月号掲載）でデビュー。現在、集英社『別冊マーガレット』にて「アオハライド」を連載中。
突然終わってしまった中学時代の双葉の恋。けれど、やがて“田中くん”と再会することをこのときの双葉はまだ知らない。
- ――『アオハライド』が生まれたきっかけを教えてください。どんなことから発想したものなのですか？
- 咲坂 恋愛メインの“ザ・青春”みたいなものが描きたくて、それは前作（編注：『ストロボ・エッジ』）においても同じだったのですが、じゃあ今回はもう少し、人の本音の部分も描いてみたいなと思ったのがきっかけかもしれません。
- ――大人気作となった『ストロボ・エッジ』の次作ということで、期待や緊張など、どんなお気持ちが強かったのでしょうか。
- 咲坂 読者の方には『アオハライド』も『ストロボ・エッジ』も両方好きになっていただきたいなと思いながら描いていましたが、私自身は常に『ストロボ・エッジ』に怯えていました。でも、今は平気です。
- ――タイトルの由来は〈『青春＋ride』＝アオハライド〉ということですが、タイトルはすんなりと決定しましたか？ 最後まで迷った別案などありましたら教えてください。
- 咲坂 “青春”という言葉からイメージするものを頭の中でごちゃごちゃ組み合わせているうちに出来上がったものです。一見、意味がわからないタイトルなので、これにしていいものか若干迷いましたが、逆に「なんだ、これ？」と気にとめてもらうのも有りかなと思って決めました。別案としては『アオハルライド』もありましたが、言いにくかったのと、少々つまんないかなと思ってボツにしました。
- ――はじめの段階では、どのあたりまで展開を決めていたのでしょうか。
- 咲坂 大まかな流れは、わりと終盤までイメージはあって、でもくわしく考えていたのは４巻くらいまででしょうか。でも、あんまり覚えてないです。
高校で再会した“田中くん”＝洸は苗字も性格も変わっていた。以前よりもふたりの距離は近づいていくようだったが…。
- ――連載開始前に作品を練っている段階でもっとも力を入れたのはどんなところですか？
- 咲坂 各キャラクターがそれぞれのキャラになった理由みたいなもの。各キャラがどう作用し合うのがいいか、など。
- ――最初に生まれたキャラクターは誰でしたか？
- 咲坂 吉岡双葉です。
- ――双葉や洸をはじめとしたキャラクターの名前を考える際に意識したことはありますか？
- 咲坂 とっぴな名前にならないように、とはいつも意識しています。
- ――まっすぐなところが魅力的な主人公・双葉ですが、キャラクターの設定を決めるにあたって、気をつけた点、苦労した点を教えてください。
- 咲坂 女子に嫌われないための偽りのサバサバキャラという設定なのですが、それを演じているうちに、意外とそれが地になってしまうというリアリティも描きたかったので、でもそうすると、「キャラって何？」という考えにぶち当たってしまって、ひそかに苦労しました。
- ――中学生時代とは印象が変わって双葉の前に再び現れた洸ですが、彼のキャラクターをつくるにあたって、気をつけたり苦労したりしたのはどんなところでしょうか。
- 咲坂 昔とは違って、すべてのことに無気力で、でもそれゆえ面倒を避けるための適度なコミュ力を持っているという性格であること。いろんなことがどうでもいいはずなのに、双葉にだけは図らずも感情が動いて、双葉によって変えられていく、というのをどうすれば自然に描けるかな、と意識しました。
双葉に想いを寄せる男子も登場。双葉の知らないところでライバル同士の争いが勃発!?
- ――双葉や洸の周囲のキャラクターについてはいかがでしょうか。
- 咲坂 連載開始前に力を入れたことと同じです。
- ――洸にとっての最大のライバルとなっている菊池くんですが、彼の登場はいつくらいから予定していましたか？
- 咲坂 初期から双葉を好きになる人は出すつもりで、どのへんのタイミングで、というのもうっすら決めていましたが、キャラクターとして考えを固め始めたのは、３巻の終わりあたりからでしょうか。でも、これもよく覚えていないです。
©咲坂伊緒／集英社