2014.07.15発行
勝手に読書
vol,14
Special Interview 2
水沢悦子
「花のズボラ飯」で一躍注目を集めた水沢悦子先生。初連載作にして人気作となった「花のズボラ飯」はどんなふうにつくられているのか。お気に入りのズボラ飯は…などなど、いろいろお聞きしました！
Profile
みずさわ・えつこ／2009年より「エレガンスイブ」（秋田書店）にて「花のズボラ飯」（原作：久住昌之）の連載を開始。現在、季刊誌「もっと！」（秋田書店）にて、「花のズボラ飯」、「ヤコとポコ」を連載中。
水沢先生のお母様も気に入ったというベーコン白菜鍋。読者人気も高いメニューです。
- ――漫画を描くうえで、どの作業がいちばん好きですか？ また、どの作業がいちばん苦手ですか？
- 水沢 大抵の描くことは好きです。絵が出来上がっていくのは楽しいことですので。でもやっぱり背景とか料理の絵は苦手というか大変です。面倒です。カケアミとか細かい斜線は時間さえたっぷりあれば楽しい作業だと思います。コミックスタジオを使ってると、アナログより丁寧にできますし。トーンをぺたぺた貼っていくよりも楽しい作業かもしれません。
- ――『花のズボラ飯』は初めての原作付き作品ですが、オリジナル作品と何か作業の勝手が違いますか？
- 水沢 「原作に手を加えたりしながらネームを作る」という作業はズボラ飯で初めて経験した作業なので、新鮮な気持ちで取り組んでいます。久住先生に「原作をいじっていいよ」と言われてはいても、最初のうちはどれくらいやっちゃっていいものなのかわかりませんでしたが、次第に慣れていきました。いじれないページがあるとなんかくやしい気がしますが、料理シーンや食べた感想のあたりは、私がさわっていいとは思えないので、結構そのままです。あと、食べた時の表情などは、久住先生の原作に「官能的に」とかちゃんと書いてあるんですよ？ ほんとにほんとに。私が勝手にああいう表情を描いてると思われてるかもしれませんので、一応言いました。でも勝手に描いてる時もあります。
- ――漫画を描くときに欠かせないもの（嗜好品、音楽など）がありましたら教えてください。
- 水沢 紅茶とお菓子をよく腹にいれながら描きますので、近所の問屋さんでまとめて買います。店内をうろつき、秋冬限定商品のチョコバットの有無で季節の移り変わりを感じたりします。作画中はラジオも聴きます。最近はパソコンで仕事をする時間が増えてきましたのでネットラジオみたいなのをなにかいろいろ探して聴いてみたいなと思っています。あまり詳しくないんですけども。
おいしい顔が満載の「花のズボラ飯」。読んでいるコチラも幸せな気分に（お腹もすきます…）。
- ――漫画家になってよかった！と思うのはどんなときですか？
- 水沢 「漫画家にならない方がよかった！」と思ったことは一度もないので、基本的にはいつもそう思っています。「マンガ大賞にノミネートされた！ うわーい」という大きな事から、「昼まで寝てても大丈夫」というささやかな事まで全部含めて、よかったと思っています。「なってよかった！」というよりも、本当に「なれてよかった！」という気持ちがすごく強いです。私がこうなるまでに関わってくれたみなさんに感謝しています。ちなみに、『花のズボラ飯』がはじめに連載されていたのは『エレガンス・イブ』という雑誌だったのですが、そこで描いてよかったと思うことは、読者層がなんだか新鮮だったというところです。60代の奥様からの応援メッセージなどドキドキしました。長く漫画を読み続けてくれている方の存在がすごく感じられて幸せだったのです。
- ――読者にメッセージをお願いします。
- 水沢 作中の料理を実践してくれたらうれしいですがこの漫画はきっちりレシピが載ってるわけではないです。たぶんそんなにきっちりやる必要もないのだと思います。自分流にアレンジしてやってみてもイイと思いますし。毎日しっかり自炊してる人は「たまには作らない日があってもいいじゃん」とか感じてもらえればいいですし。久住先生もきっとそんな風に思ってると思います。みなさん『花のズボラ飯』をよろしくお願いします。掲載誌の『もっと！』で最新話が読めますので。
- ――ありがとうございました！
- （『ぱふ』2011年5月号掲載記事を抜粋・再構成しています）
©久住昌之／水沢悦子（エレガンスイブ・もっと！）