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2014.07.15発行

勝手に読書

vol,14

勝手に読書伝説

花のズボラ飯

Special Interview 1

久住昌之

長きにわたって愛されつづけている「孤独のグルメ」(作画:谷口ジロー)の原作者としても知られる久住昌之先生。その「孤独のグルメ」の女性版ともいわれる「花のズボラ飯」はいかにして誕生したのか。おこたえいただきました!

Profile

くすみ・まさゆき/7月15日生まれ。漫画原作者・漫画家・エッセイスト。泉昌之名義で漫画家として活躍するほか、久住卓也とのユニットQ.B.Bとしても活動。

大人でかわいいんだけど、実はズボラな女性がいいなと思って

花のズボラ飯

寒さのあまり携帯用カイロを買いに寄ったコンビニで見かけてつい買ってしまった肉まん。暖も取れるし、おいしいし!

花のズボラ飯電子版はこちら

――「花のズボラ飯」誕生の経緯を教えてください。
久住 2008年くらいに、扶桑社の女性漫画雑誌で『孤独のグルメ』の女性版を描かないかというお話をいただき、斉木久美子さんと組んで「ランチ番長」という連載漫画を描くことになっていました。ところが始める直前に雑誌の休刊が決定。急遽、単発漫画「ピンチのランチ」というのを一話だけ描いたんです。ところがそれを、『花のズボラ飯』の初代担当編集者さんがたまたま読んで、ボクが女性誌でも原作可能なんだ、と思ってくれたんです。それで連絡をいただきました。ボクは媒体にはなんのこだわりもないんで、すぐ会って打ち合わせしました。
 漫画家さんの候補は3人いて、担当と話し合った結果、水沢悦子さんになりました。条件は「カワイイ女の子と、おいしそうな食べ物が描けること」でした。大人でかわいいんだけど、実はズボラな女性がいいなと思って、考えているうちに「ズボラ飯」というコンセプトが生まれました。ボク自身料理なんてほとんどできないんで、背伸びしたグルメ話なんて続かないし、面白くもないので。「花」の下敷きと言うかルーツは、6年前に『漫画アクション』で7話描いて連載が打ち切りになった「百合子のひとりめし」(作画・ナカタニD.)があると思います。これから、という時だったのでちょっと悔しい思いもあって、その失敗を踏まえたマンガにしようと思いました。
――水沢悦子先生が描く花を見たときの印象を教えてください。
久住 あまりにもボクがこれまで描いてきたマンガと絵柄が違うんで、戸惑いましたが、花の顔は素直で、水沢先生が花を心からかわいいと思って描いているのが伝わってきました。そこに一目で好感を持ちました。というのは、掲載誌の読者層が主婦ということで、単にアニメっぽかったりロリコンぽい花だったら、拒絶される心配があったのです。あと、そんな絵の原作を作ったら、今までの泉昌之ファンや『孤独のグルメ』ファンに、ドンビキされるかなとも思いました。しかしドンビキされたらされたで痛快な気がして、俄然やる気になりました。
――どのように原作が出来上がっていくのですか? 毎回の工程を教えてください。(レシピから考える、など)
久住 正直言ってレシピは何でもいいんです。それより「どういう状況でお腹がすいて、めんどくさいけど作らねばならくなったか」というシチュエーションから考えます。きっかけは、連載物なので季節が多いです。寒い道でお腹がすいてて、帰って何食べよう?とか。コンビニで肉まん食べちゃおうかな、とか。
 原作は、文章で書いています。お話をページごとに割って、台本ぽい感じに書いています。水沢先生がそこからコンテを切ってボクに送り返してくれます。その時点で水沢先生なりの解釈や原作にないギャグが入っていることも多いです。それをボクがチェックして、直すところは直して、作画に取りかかっていただいています。直接水沢先生と会って話すことはありません(連載開始前にはもちろんお会いしました)。ファッションや小物などは、ボクの指定がない場合、担当者と水沢先生が一生懸命考えて描いてくれています。だから、この漫画は編集者さんと3人で作っていると言ってもいいです。
――久住先生とっておきのズボラ飯を教えてください。
久住 とっておきはないですが、鯖の水煮の缶詰を皿にあけて、刻みネギをいっぱいふりかけて、醤油をさっとかけ回したので、温かいご飯を食べるとか。あと、納豆は毎朝でもいいです。実は水沢悦子先生が、納豆を食べられないので、食べられるようになってくださいとお願いしています。納豆が好きになってくれたら、それだけで3話ぐらい作れる。「納豆が食べれるようになった話」「納豆を使った工夫ズボラ料理の話」「旅先で納豆に救われた話」など。残念ながら、まだ水沢先生は「見るのも嫌」みたいです。
――読者にメッセージをお願いします。
久住 ボクの原作の他の漫画(泉昌之名義/QBB名義/作画谷口ジローetc)に馴染みがない方でも、『花のズボラ飯』を面白いと思ってくださったなら、たぶんそれらも楽しんでいただけるんじゃないかと思います。ボクは作画家で絵柄が変わっても、基本的なセンスがデビューした頃からなんにも変わってないんで。『花のズボラ飯』ともどもよろしくお願いします。
――ありがとうございました!
(『ぱふ』2011年5月号掲載記事を抜粋・再構成しています)

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料理のコマだけは最後まで残しておいてたっぷりゆっくり描きます

花のズボラ飯 コミックス情報

花のズボラ飯(1)を読む

花のズボラ飯(1)

連載開始時からネットで話題騒然!主婦から、オタクから、マンガ読みから絶大な人気を誇るグルメ・ショート!! 原作は超ロングセラー漫画『孤独のグルメ』の久住昌之、作画は日本一女の子をかわいく描ける...

花のズボラ飯(2)を読む

花のズボラ飯(2)

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©久住昌之/水沢悦子(エレガンスイブ・もっと!)

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