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2014.06.30発行
勝手に読書
vol,13
Special Interview
横幕智裕・竹谷州史
民間科捜研の凄腕調査員・流田縁を主人公に、科捜研を訪れる人々が抱えた事件、そして縁が失った、恋人の死にまつわる12時間の記憶の謎が描かれる「Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁」。ヒューマンドラマと先の見えないミステリーが絡み合ったこの作品は、どんなところから生まれたのか。原作者の横幕智裕先生、作画者の竹谷州史先生に語っていただきました。
Profile
よこまく・ともひろ／北海道出身。原作者・シナリオ作家・構成作家。現在「Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁」の原作のほか、テレビ東京「137億年の物語」の構成を担当。
たけや・しゅうじ／北海道出身。1995年に「月の爪」（アスキー<現KADOKAWA／エンターブレイン>『月刊コミックビーム』３月号掲載）でデビュー。現在は、「Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁」の作画を担当。
何者かに殺された縁の恋人・エミリ。花を愛し、誰からも愛された、美しくやさしい女性だった。
- ――原作ベースで最初に誕生したキャラクターは、やはり流田縁なのですか？
- 横幕 そうです。でも、縁のキャラクターに関しては、竹谷さんがいろいろとアイデアを出してくれたので、そこでずいぶんと膨らみました。
- 竹谷 縁のドーナツ好きは、横幕さんが推したんだよね。
- 横幕 穴から覗かせるっていうのは竹谷さんからの意見ですよ。絵に起こしてもらったものも、縁はこういう感じなんだなってすごく納得がいきましたし。
- ――縁の次に生まれたキャラクターというと誰ですか？
- 横幕 僕が考えた順番でいうと、縁、所長、桜子、ですね。
- ――縁の恋人・エミリは…。
- 横幕 エミリは、わりと後ですね。縁にすごい過去があるということになってから、じゃあ、恋人が殺されていて、という話になって、エミリができました。
- 竹谷 で、僕がエミリはすごくかわいいに違いない！とかいうわけです(笑)。
- 横幕 エミリのキャラクターも竹谷さんの絵に引っ張られているところが大きいです。竹谷さんの絵から、エミリはこういう感じの子だったんだなって掴んでいるところもありますから。
- ――キャラクターを絵に起こすにあたって、竹谷先生が意識されたのはどんなところでしょうか。
- 竹谷 思い浮かぶままにキャラクターを絵にしていった感じなので、あまり何かを意識することはなかった気がします。縁の頭はでっかいんだろうなとか、エミリはかわいいとか、そんなイメージから絵にしました。
ふざけているようで、真面目で、ぶっきらぼうで、優しくて。ともに働く桜子は、いつしか縁に惹かれていく。
- ――絵に起こすのが難産だったキャラクターはいますか？
- 竹谷 どうかなあ。
- 横幕 楠神多聞は大変だったんじゃないですか？ 謎めいた天才の男ってどういうふうに描くんだろうって思ってましたよ。
- 竹谷 でも、特に大変だったわけじゃないかな。というのも、毎回原作をもらうたびに、自分の奥さんに今回はこういう話でこういうゲストキャラなんだ、と話すのですが、奥さんと話すことで、こんな感じの人でこんな服を着てるんじゃないって奥さんから意見がもらえたり、アイデア交換ができるので、意外とすんなり浮かびますね。なので実は、うちの奥さんもまた、チームメンバーのひとりなんです（笑）。
- ――横幕先生から竹谷先生にキャラクターのビジュアルに関してリクエストを出すことはあるのですか？
- 横幕 年配だとかそういう情報をト書きとして書くことはありますが、基本的にビジュアルイメージは竹谷さんにお任せしてしまっています。
- 竹谷 僕としては、横幕さんの原作の行間から読み取ったものに思い込みを加えて絵にしています。
- 横幕 僕にしてみると、縁のもじゃもじゃ頭を毎回描くのは大変なんじゃないかなと思ったりしますよ(笑)。
- 竹谷 “心優しい異形”みたいにしたかったんですよ。今となっては、さわやかな美形にしておけばよかったと思いますけど(笑)。
- ――縁に限らず、『Smonking Gun』に登場するキャラクターたち、特に科捜研の面々はみな外見も内面も個性的で、それぞれが歩いてきた人生が感じられます。横幕先生は事前にずいぶんとキャラクターの性格を練られたのですか？
- 横幕 そうですね。ひとりひとり履歴書みたいな感じで、細かな設定を考えてはいましたが、連載が始まったら無視しているところもいろいろあります。
- 竹谷 そうやって練られた設定をもとに、多面的なキャラクターを描くということを課しているのですが、おかげでキャラクターに振り回されることもありますね。
- ――特に振り回すのは誰ですか？
- 竹谷 縁ですかね。
- 横幕 縁ですね。そう動くのかって。
- 竹谷 意外な行動取ったりしますからね、ヤツは(笑)。
©横幕智裕・竹谷州史／集英社