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2014.06.30発行

勝手に読書

vol,13

勝手に読書伝説

Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁

Special Interview

横幕智裕・竹谷州史

民間科捜研の凄腕調査員・流田縁を主人公に、科捜研を訪れる人々が抱えた事件、そして縁が失った、恋人の死にまつわる12時間の記憶の謎が描かれる「Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁」。ヒューマンドラマと先の見えないミステリーが絡み合ったこの作品は、どんなところから生まれたのか。原作者の横幕智裕先生、作画者の竹谷州史先生に語っていただきました。

Profile

よこまく・ともひろ/北海道出身。原作者・シナリオ作家・構成作家。現在「Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁」の原作のほか、テレビ東京「137億年の物語」の構成を担当。

たけや・しゅうじ/北海道出身。1995年に「月の爪」(アスキー<現KADOKAWA/エンターブレイン>『月刊コミックビーム』3月号掲載)でデビュー。現在は、「Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁」の作画を担当。

作品はチームでつくっています

Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁

主人公・流田縁は、民間の科学捜査研究所の調査員。実は、警視庁科学捜査研究所の元エースだ。

Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁電子版はこちら

――民間科捜研は、長年、横幕先生があたためられていた題材だそうですね。
横幕 連載が始まる3年くらい前に、現在『Smoking Gun』で監修を務めてくださっている法科学鑑定研究所の山崎昭さんと、仕事で知り合う機会を得まして、民間科捜研というものの存在を知ったんです。面白そうだなと思ったので、その後何回か山崎さんのところへお話を伺いにいっていたのですが、あるとき、新作のまんが原作の話をこの作品の担当編集者さんとしていたときに、「実は民間科捜研というものがありまして…」と話をしたら、興味を持っていただけました。
――先生ご自身は、民間科捜研のどんなところに関心を持たれたのですか?
横幕 科捜研というと犯罪捜査がメインだと思っていたのですが、お話をお聞きしていくと、民間科捜研では、民事裁判で提出するための証拠を集めることのほうが多いらしくて、それは意外でしたし、すごく現代的だと思ったんです。
――はじめから『Smoking Gun』の雛形のようなものを考えていたのですか?
横幕 いえ、最初は、新入社員が民間の科捜研に入ってがんばって仕事を覚えて…なんて話のパターンも考えたりしていました(笑)。現在の『Smonking Gun』の形は、僕と竹谷先生、担当さんの3人でつくったものです。
――どのようにつくられていったのですか?
横幕 作品の叩き台のようなものを僕がつくって、そこに竹谷さんや担当さんの意見をいろいろ取り入れて、膨らませていきました。その間にも山崎さんにお話を伺いにもいっていましたし、女の子がいたほうが面白いんじゃない?なんていって、竹谷さんにキャラクターをつくってもらったりもしましたね。山崎さんのお力も借りて、土台からチームでつくったという感じです。
――『Smoking Gun』では、民間科捜研に持ち込まれる個々の事件を横軸とするならば、民間科捜研調査員である主人公・流田縁の『失われた12時間の記憶』(ミッシング・トゥエルヴ)の謎が縦軸として作品全体を貫いています。こちらの縦軸に関してもチームで築かれたのでしょうか。
横幕 それに関しても、3人であれこれと話を詰めていきました。横軸の個々の話はある程度の形を僕が出すのですが、縦軸の謎に関しては、はじめから3人で考えましたね。
――そもそも、記憶を失った人物を主人公に据えたのはなぜですか?
横幕 それは、竹谷さんからの提案だったんです。
竹谷 民間科捜研を題材にした作品をやることになったときに、科学捜査というのは、残された証拠を調べていくことで、過去に何があったのかを調べていくことだから、それを運命づけられたような主人公にしたいという話をしました。主人公には記憶がなくて、自分の過去すらも鑑定して調べていくというのはどうだろう、と。いってみたら、わりとすんなり通ったので驚きました(笑)。
――キャラクター設定や全体の構成などもすんなり決まっていきましたか?
竹谷 科捜研メンバーのキャラクターは、横幕さんからの叩き台の段階でほぼ揃っていましたし、そこに、主人公は頭がもっさりとした怪人っぽい男がいい、とか、怪人だけだと怖いからそばに小さい女の子がいればいいんじゃない、とか、僕はイメージでばかり話をしていました。あとの2人に受け入れてもらえてよかったです(笑)。僕は、一般の人の悩みや迷い、感情やドラマを描きたいという思いが強かったのですが、この題材ならそれが描けると思ったし、綿密な取材をもとにした横幕さんの原作もあるし、最初から心強かったですね。
Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁

恋人の死とともに失われた、12時間分の記憶。そこには恋人の死の真相が!?

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――チームで作品を構築していくときに、特に意識したことはありますか?
横幕 僕は、ほかの科捜研ものとの違いを出したいという思いがありましたので、法科学鑑定研究所の山崎さんのところでちゃんと取材をして、民間科捜研ならではという事件を題材にしていきたいとは思っていました。
竹谷 民間科捜研には、様々な人が様々な事情を抱えて依頼を持ち込んできていて、そこにいろいろな感情があるわけです。なので、人間を薄っぺらく描かないようにしよう、と思っていました。安易なキャラクターとしてではなく、ひとりの人間として丁重に扱おうと。事件を描くんじゃなくて、人間を描く。それが民間科捜研を題材に描くってことなんじゃないかなって思ったんですよね。白黒で割り切れないグレーの部分をちゃんと面白く描けるか、人間は魅力的な生き物だということをちゃんと描けるか、それを課して始めました。
――2012年の連載開始時点で、どのあたりまで話の流れを決めていましたか?
横幕 だいたいの道筋は決まっていましたが、細かくは決まっていませんでした。『失われた12時間の記憶』に関しても、現段階ほどは固まっていませんでしたし。
――では、『失われた12時間の記憶』について固めていく作業は……今、みなさん一様に渋い顔をされたということは、大変だったのですね(笑)。
横幕 大変でした(笑)。
竹谷 たとえば、『失われた12時間の記憶』に絡んで亡くなるキャラクターがいるのですが、描く直前、前の週まで亡くなる予定ではなかったんですよ。
――そうだったんですか!?
竹谷 『失われた12時間の記憶』について固めていくうちに、どうしてもそうせざるを得なくなってしまって…。
横幕 だいたいの大きな流れと、そのポイントのようなものは決めてあるのですが、それ以外は決めていないので、そこを固めようとすると毎回結構な長さの打ち合わせになるんです。失われた12時間を僕たちも埋めていかなくてはいけないので、大変ですね。
竹谷 先に答えが見えていてはやはり面白くないじゃないですか。魅力な謎がまずあって、真相は果たして!?って興味をそそるわけですから。僕らもまず謎を提示して、さて真相はどうなっているんだ、と(笑)。
――チームで必死に考えるわけですね。
横幕 そうです。だから最初は僕らもわかっていません(笑)。それと、縦軸である『失われた12時間の記憶』の伏線や少しずつ見えてくる答えをどう横軸の個々の事件と絡ませるか、そのタイミングを計るのも実は難しくて大変です。
竹谷 ただ、僕らはチームでやっているというのがいいんだと思います。3人いると誰かしらが読者の目線に自然となっているんですね。そろそろ緊迫した展開がほしいとか、そろそろちょっとほっとしたいとか。ひとりだと見えなくなってしまうものも3人だったら誰かしらが気づくので、それは僕らチームのいいところですね。

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多面的なキャラクターを描くことを課している(竹谷)

Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁 コミックス情報

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  • Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁(2)を読む
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