2014.02.01発行
勝手に読書
vol,9
Special Interview
オノ・ナツメ
作品によって頭身を描き分けながら、あるときは外国を舞台にした物語を、あるときは江戸時代の物語を切り取ってみせるオノ・ナツメ先生。そんなオノ先生の最新作『ACCA13区監察課』について、誕生秘話などとっておきのお話をお聞きしました。
Profile
オノ・ナツメ／2003年に「LA QUINTA CAMERA」（ぺんぎん書房『COMIC SEED！』11月号掲載）でデビュー。その独特の絵柄と作風で早くから注目を集める。代表作に『リストランテ・パラディーゾ』（太田出版）、『さらい屋五葉』（小学館）、『つらつらわらじ』（講談社）など。
ACCAの幹部である５長官。一筋縄ではいかない人ばかりが集まっているように見える。
- ――巨大組織ACCAのトップにいる５長官がみなジーンに負けず劣らず“喰わせ者”揃いで目が離せません。彼らのキャラクターをつくるにあたって、意識した点はどんなところでしょうか。
- オノ とにかく見分けをつける。
- ――５長官の中で、描くのについ力が入るキャラクターは誰ですか？
- オノ グロッシュラーでしょうか。本当に疲れるという意味で。肩がこります。自分なりにかっこよく素敵な感じに描きたいという意味ではパスティス。スペードを描くときには髪型に気を使います。リーリウムは描き慣れないキャラなのでいろいろ難しいです。パインは描きやすい系のキャラですが他作品で描いてきたキャラと同じにならないように気を付けつつ描いています。結局全員ですね。その分楽しんでます。
- ――登場するキャラクターの中で、特に動かしやすいキャラクターは誰ですか？
- オノ 監察課の３人娘。
- ――反対に、動かしにくいキャラクターは誰ですか？
- オノ いますが秘密。
- ――全登場人物（これから登場するキャラクターも含めて）の中で、ほかのキャラクターに比べて、描くのが楽しい（もしくは楽しみにしている）と感じるキャラクターがいましたら教えてください。理由も教えていただけるとうれしいです。
- オノ 副本部長とノット。コミックスのカバー下に描いたふたりです。副本部長は描くたびに愛着が増していってます。こういう、脇にいるけど個性の強そうなキャラを描くのは楽しいです。
オノ先生がお気に入りだというシーン。ACCA本部長がカフェにいる長官たちに歩きながら敬礼を。ジーンのこの表情には何か思惑が!?
- ――これまでに描かれたエピソードのなかで、特に印象深いエピソードやシーンはどんなところでしょうか。
- オノ 第3話の、カフェにいる長官たちに本部長が歩きながら敬礼するシーン。あそこの流れ、頭に浮かんだ時から描くのが楽しみだったんです。1巻の中ではいちばん好きなシーンです。本部長の敬礼姿のところも今まででいちばん好きなコマかも。
それとジュモーク区でのジーンが食事をしてるシーン。ここは連載前からずっと「描きたい！」としつこく云っていたところなので。楽しかったです。 - ――読者からの感想で特に印象深かったものがありましたら教えてください。
- オノ グロッシュラーが票を得るかと思っていたのですがリーリウムの圧勝っぽいところ。
- ――この作品を描いていて楽しいのはどんなところですか？
- オノ 組織というところ。組織の制服。それと食べ物。
- ――難しいと感じるのはどんなところですか？
- オノ 展開です。ちょっと複雑なので。
- ――ジーンをはじめ、それぞれ胸の内に何かを抱えているキャラクターたちが多く登場しているこの作品の今後の見どころを、差し支えのない範囲で教えてください。
- オノ 新キャラもまだまだいっぱい登場予定です。２巻の見どころは王国の人たちとACCAの面々が一堂に会するところかなと思います。
- ――最後に読者へメッセージをお願いいたします。
- オノ 慣れないことだらけの作品です。どういうふうに描けられるかという不安と、だからこその楽しみがあります。皆様にも楽しんでもらえる作品になるよう精進しつつ取り組んで参りたいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
- ――ありがとうございました。
- オノ こちらこそありがとうございました。
©Natsume Ono／SQUARE ENIX