2014.02.01発行
勝手に読書
vol,9
異国の物語に耽溺
作品の舞台に外国が選ばれることはめずらしくないオノ作品。その国のその場の空気が感じられるようで、海外ドラマを見ているような感覚にもなるのです。
離婚を機に長年疎遠だった父親と久しぶりに会ったイーヴォ。しかし父との会話は弾まず、ぎくしゃくした空気が流れる――「長靴」など全6作を収録。北イタリア、ボストン、ニューヨーク、日本など、それぞれの場所を舞台に、親子や兄弟、仲間といった、繋がりの種類は違えどそこに確かにある絆を描いた作者初の短編集。
©オノ・ナツメ/講談社
ニューヨーク市警51分署の署長が入院。署長代理としてカッツェル警部補が就任するが、カッツェルには『新任地での初日と最終日に騒ぎが起こる』という噂があった。そしてそのジンクスめいた噂通り、就任初日に籠城事件が発生! ニューヨーク市警の刑事たちを中心に、彼らが関わる人々を描く作者の人気シリーズ。
©オノ・ナツメ/講談社
江戸の空気を堪能
現代ものもいいけれど、オノ作品といえば時代劇ものがまず浮かぶファンも少なくないはず。江戸時代を舞台に繰り広げられる人間模様と活劇にはたまらない魅力があるのです。
生来の気弱さが災いして浪人生活から抜け出せない政は、江戸の町で出会った遊び人風の男・弥一から用心棒を頼まれる。しかし、弥一は拐かしを生業とする賊『五葉』の頭だった。不思議な雰囲気を持った弥一に絡めとられるように、『五葉』の仲間として引き入れられていく政だったが…。2010年にフジテレビ系でアニメ化された。
©オノ・ナツメ/小学館
寛政の世――幕府が改革で倹約を謳う中、岡山藩熊田家藩主・熊田治隆は、新米家老ほか家臣と人足あわせて数百人を連れて、江戸へ参勤の旅に出ることに。その集団の中には、治隆を疎ましく思っている幕府老中・松平忠信の密偵も紛れこんでいた。幾多もの波乱が待ち受ける参勤の旅の行方やいかに!?参勤交代の実態もわかる一作。
©オノ・ナツメ/講談社
盗みを生業とする赤目一味に属していた、向こう見ずな弁蔵と沈着冷静な宗次。ふたりは頭目である辰五郎の死に目に立ち会い、一味の今後を任されるが、姐さんの一存で頭目の弟分が跡目を継ぐことに。この顛末に納得がいかない弁蔵と宗次は、一味を離れ、ふたりであてのない旅へ出るのであった。男同士の絆に胸熱まちがいなしな活劇作。
©オノ・ナツメ/小学館