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勝手に読書伝説Vol2 いま最もアツイまんが、神撃の巨人作者の諫山創インタビュー&進撃の巨人完全ガイド!
自分なりの最高最強の巨人と人間の物語
突如現れた謎の巨人が周囲にいる巨人を襲い、倒していく。いったい何が起こっているのか。

――最終回のイメージはすでにあるのですか?

諫山 はい。ただ、そこに至るまでの道筋は漠然としたものです。着地点さえ決まっていればなんとかなるとは思っているのですが、今そこへ向けてどう歩いていくか、迷っています。

――迷っているいちばんの理由はなんだと思いますか?

諫山 たぶん着地点が見えているからじゃないでしょうか。これまでは着地点よりも話を進めることに意識がいっていたと思うのですが、そこを超えたときに、着地点が決まっている分展開に制限が生まれてきて、選択が限られてきたからかもしれないと思います。ここまで連載が進んで、今までと展開や設定に齟齬があってはいけないし、自由に考えるわけにいかなくなってきているんでしょうね。

――作品では、巨人と戦う人間たちのドラマが描かれます。
キャラクターの中でよく動いてくれるのは誰でしょうか?

諫山 それはミカサですね。逆に動かないのは主人公のエレンです。主人公と描き手である自分とに内面での共通性をまったく失くしてしまうと人物が薄っぺらくなってしまうと思うものの、エレンと僕とに共通性があまりなくて。エレンは外に出たがりますが、僕はひきこもっていたいし、危ないところには近寄りたくないですから(笑)。もう少し自分が歩み寄れるようなところをエレンに作るべきだったな、と思います。ただまあ、ここまで描いてきて多少はエレンのことがわかってきましたけど。

――エレンをはじめ巨人と戦う人々は、必死に巨人や死に対する恐怖とも戦っています。格好いいだけではない彼らの戦い方、生きざまが描かれていることもこの作品の魅力のひとつだと思います。

諫山 戦わなかったら絶対に死んでしまう状況に置かれたときに、座して死を待つという態度もあるとは思うのですが、どうせ死ぬなら傷を負おうがなんだろうが立ち向かうという行動もあると思うんです。戦いたいわけではなくて、そういう状況に追い込まれて、そうせざるを得ない、だから戦う、という人たちを描いています。恐怖のあまり動けない人たちや死を望む人がいるのも当然だとも思います。自分が同じ状況に置かれたら、いち早く死を望んでしまう気がしますしね。

――エレンのように無鉄砲なことはしませんか?

諫山 しませんね。まず逃げると思います(笑)。そういう自分の性格もあって、実はエレンをはじめ作中でがんばって戦っている人たちにいまひとつ共感できないまま、きっとこうだろう、という想像で内面を描いているんですよ。

――人間のキャラクターより、巨人に対してのほうが思い入れが強いのかもしれませんね。

諫山 だと思います。巨人対巨人の格闘シーンを描いていたりするときのほうが明らかにテンションが高いですから(笑)。でも、人間が決して人間離れすることなく、あくまでも人間なりの力で知恵を巡らせて巨人と戦うという話を見たい思いもあるんです。でもそれを自分が人並み以上の作品として描ける気がしないので、自分が描けるであろう、自分なりの最高最強の巨人と人間の物語がこの作品なんだと思います。

――メッセージをお願いします!

諌山 アニメ『進撃の巨人』とてもおもしろいです。つられてまんがも少しはおもしろいと思います。両方ともよろしくお願いいたします。

――ありがとうございました。

(一部『ぱふ』2011年6月号掲載記事抜粋・再構成しています)


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