作品内容
街の小さな劇場で一人の少女が舞台袖で目を輝かせていた。名はエルシェーラ。
舞台女優に憧れるどこにでもいる下働きの少女だった。
生活は貧しく、アル中の父からの暴力で生傷が絶えない。幼い弟に食事を与えるので精一杯だ。
でも、エルシェーラは苦しくなかった。演技をしているときだけは何者でもない誰かになれるから。
いつか女優になることを夢見て。
…だが非情なるこの世界は彼女の夢も希望も、未来さえも全て奪っていった。
そして絶望の淵に立たされたエルシェーラの前に現れたのは、自分にそっくりなリドリー王女だった。
彼女はエルシェーラに持ちかける、自分の代わりに大国に嫁ぎ、その国を欺く女優となることを。
たった一人の少女の怪演で世界を揺り動かす。命と国を懸けた大舞台の幕が今ここに上がる――!
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