作者: アーノルド・ファン・デ・ラール / 鈴木晃仁 / 福井久美子
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セルフ手術で結石を取りだした鍛冶屋の男、無痛分娩の先陣をきったヴィクトリア女王、とがった器具で痔を切り裂かれたルイ14世……スプラッターな「試行錯誤」がいまの医術を築いてきた麻酔はない、消毒もない、手洗いすらない時代。外科医たちは白衣ではなく、返り血を浴びても目立たないよう黒衣を着ていた。傷口は水で洗うかわりに焼きごてで焼灼(しょうしゃく)。出血多量のときこそ瀉血(しゃけつ)。患者はベッドに押さえつけられ阿鼻叫喚の手術がおこなわれたが、そこには治療の道を切り開こうと必死に手探りしていた人たちがいた。驚愕と震撼とユーモアに満ちた、背筋も凍るほど刺激的な一書。現代に生まれて、ほんとうによかった――目次序章 「手」で治す外科医たち第1章 ある鍛冶屋の男膀胱を自分で切り裂き摘出――結石第2章 アブラハムとルイ16世ペニスを石でしごいて包皮を切りとる――包茎第3章 エリザベート皇后心臓を刺されても歩き回れたのはなぜか――血液循環第4章 インノケンティウス8世・レオ10世・ヨハネ23世教皇も逃れられない暴食――肥満第5章 ヨハネ・パウロ2世人気教皇、銃撃され腸が穴だらけ――人ストーマ工肛門第6章 ペルシア帝国ダレイオス王「手術で死んだら、外科医の手を切り落とす」――脱臼第7章 ジョン・F・ケネディ世界が見つめる世紀の大解剖――気管第8章 リー・ハーヴェイ・オズワルドケネディと同じ外科医が暗殺者も――手術の限界第9章 アウストラロピテクス・アファレンシスのルーシー二足歩行とひきかえに――静脈瘤第10章 奇術師フーディーニ水拷問よりも腹パンチよりも――虫垂炎第11章 ヴィクトリア女王無痛分娩、歴史が動くとき――麻酔第12章 大航海時代の貿易商ストイフェサント砲弾で砕かれた脚はどうなるのか――壊疽(えそ)第13章 名探偵ポアロとシャーロック・ホームズ外科医は金星人、内科医は火星人――診断第14章 イランの元皇帝一・五リットルの膿を腹に抱えた亡命生活――合併症第15章 バロック音楽家リュリとボブ・マーリー足指切断のかわりに失ったもの――播種(はしゅ)第16章 ローマ帝国執政官丸々と肥えた軍人には脂肪切除を――開腹手術第17章 アインシュタイン天才の血管は破裂寸前――動脈瘤第18章 内視法の生みの親たち腹を切り裂くか、鏡を突っ込むか――腹腔鏡手術第19章 アダム・宦官・カストラートペニスを切り落とす10の方法――去勢第20章 英国王ジョージ6世イギリス王室とタバコの関係――肺がん第21章 宇宙飛行士アラン・シェパード究極のプラセボ治療――瀉血(しゃけつ)第22章 英国キャロライン王妃でべそを隠した王妃の壮絶な最期――臍ヘルニア第23章 イタリア戦争を生き延びた若き医師自分の傷に指を突っ込み腹腔を学ぶ――鼠径ヘルニア第24章 19世紀フランスのパン屋歯科医がつくった機械の肩を埋め込まれた男――人工関節第25章 レーニン頭痛、不眠、ノイローゼの指導者――脳卒中第26章 胃腸をはじめてつなぎ合わせた外科医ちょっと雑でも高速技なら大丈夫――胃切除第27章 ルイ14世とがった器具をさし込み一気に引き抜く――痔第28章 動物園の獣医デンキウナギに麻酔をかける――動物の手術 + 続きを読む
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