作品内容
トキ。学名ニッポニアニッポン。かつてアジアの空で、数百万羽が薄紅色の美しい羽をはばたかせていた。「トキを見ると幸運が訪れる」アジアの人々にとってトキはかけがえのない鳥だった。
しかし20世紀に入り、環境が激変。戦後、佐渡と、能登半島に僅かに残るのみとなった。
「幸せを運ぶ鳥を守ろう」佐渡の高校教師、佐藤春雄と、トキ保護センターの若き技師、近辻宏帰たちが立ち上がった。生態をくまなく調査。保護運動を広げていった。
しかし昭和56年、トキは6羽まで激減。環境庁は人工繁殖にかけようと一斉捕獲を実施。日本の空からトキが消えた。
その直後、驚くべきニュースが飛び込んだ。中国ではとうに絶滅していると思われていたトキが山奥で見つかった。佐藤は、長年研究を続けてきた資料を全て中国に渡した。
一方、トキ保護センターにいた6羽のトキは次々に死に、老いていった。
平成7年、ついに最後の雄ミドリが死亡した。残るは雌のキン1羽。
責任者の近辻は絶望した。その時、思わぬ援軍が現れた。
アジアの鳥を蘇らせようと、半世紀にわたり執念を燃やし続けた、国境を越えたドラマ。
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