作者: 赤江瀑
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二十数年ぶりの新宿。五藤涼介は、そこで三千社文彦監督の幻の傑作と言われる映画『火雨』の上映会に出くわす。涼介は、かつてふとした出会いから三千社のアパートに引越した。一台のオート三輪で。車は東京の街なかを走っているのに、深い森の奥の径を、奥へ奥へと分け入って行くように見えた。異様な蔦や葛におおわれ、奇怪な巨木や蔓草がしげる――そう。あのオート三輪が、僕を妖怪の住む森へ運んで行った。+ 続きを読む
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