作品内容
「きゃー!」
サンモールの方で女性の悲鳴が響いた。
歳は五十半ばぐらいか。でっぷりとした大柄の男だ。右手には包丁を握っている。
事件当日、自殺を試みた男は母親を殺した。
「母親の遺体はベッドで確認された。境田は両手で母親の首を絞めて殺したと供述したんだが……」
「監察医の仕事は、死者の最後の言い分を聞いて、ゆっくり眠らせてあげることだ」
千葉圭一郎の言葉に感銘を受け、監察医になった栗山玲奈。東京都監察医務院中野分室の解剖台の上にある遺体は、彼女になにを語りかけるのか。
新進気鋭のミステリ作家、矢月秀作の手による、本格ミステリー。+ 続きを読む