作品内容
「これから送るのは、親しい友達にも話していないことだ。暗くなるけど、いいかな?」
「わたしは……今、この瞬間全身でスミオの話をきいてるよ。全部、話して――」
六本木ヒルズに暮らす大学生の澄雄と、薄給のパン工場で働くジュリア。携帯の出会い系サイトで知り合ったふたりのメールが空を駆けていく。
20歳のふたりは、純粋な愛を育んだが、そこへ現実という障壁が冷酷に立ち塞がる。無防備すぎる恋は追いつめられ、やがてふたりは最後の瞬間に向かって走り出すことに。
格差社会に否応なく歪められる恋人たちを描いた、現代版「ロミオとジュリエット」。
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